開戦から約1000日“トランプ停戦”の実現性は?ロシアのウクライナ侵攻“落としどころ”を専門家が解説
■トランプ氏の関与はどこまで影響を与えるか
アメリカ大統領に復帰するトランプ氏は「アメリカファースト」の方針を掲げており、一刻も早くウクライナ侵攻を終わらせたいと考えている。前嶋氏は「トランプ氏は公約として、就任して24時間以内に戦争をやめると言っているし、最近では就任するまでにやめるとも言っているので、今必死にロシア側、ウクライナ側と話をしているところ」と解説。ただ、その終わり方はウクライナにとって厳しいものになる可能性は十分にあり、「東部と南部を取られて終わるのか、あるいは一定程度ロシア側に攻め込んで、もう少しウクライナにプラスの状況で終わるのか。どっちにしてもあまりウクライナにとってよくない話。要するに戦争犯罪者であるプーチンを認めてしまう形になってしまう」と述べた。 トランプ氏にとっては、大統領再任に際しウクライナ侵攻を止めたとなれば、大きな“セレモニー”にもなるという。「『俺がウクライナの紛争を、バイデンの時にやってしまったアメリカの失敗を止めるんだ』という意識がある。ツールとしてはアメリカが武器提供をやめると言えばウクライナは動かないだろうと見ている。今年の6月、1年6カ月ぶりにアメリカの支援が通ったら、ウクライナ側がロシア側にも攻め込むようになった。これが止まれば、ウクライナも諦めざるを得ない。トランプさんとしても『俺はロシアと話せる』と、自分の就任の成果にしたいわけだ。最初からレガシーを作っていく、ノーベル賞(受賞)とかいろいろなことを考えている」と思惑を解説した。
■どうやったら終わる?“勝利のライン”とは
トランプ氏は、アメリカの協力が止まりさえすれば、ウクライナが戦えなくなり、終戦を迎えると見ているが、その通りに進むのか。山添氏は両国にとって、これなら“勝利”と呼べるラインを分析している。「現状で停戦するとしたら、ロシアは2022年7月の時よりも、ウクライナに取り戻されている。少なくともロシアは2州占領、もっと押して4州占領くらいまでやりたい。もう4州が自分の領土だと言っているので、ウクライナにそれをよこせと言わないと停戦の条件にならない」と指摘した。「これを諦めるならば相当な譲歩をロシアが得ないと、プーチン政権はトランプ政権に押し込められたということで、ロシアの中で正当性を持たない。逆にロシアに何でもあげるとトランプが決めて、ロシアがウクライナを叩きのめしてしまったら、バイデンの時よりもひどい負け方をアメリカがすることになるので、想像しにくい」。 また、ここ数日、イギリスやフランスがウクライナへの派兵を議論しているとも報じられていることについて、山添氏は「イギリス、フランスだけでいきなり参戦というのも、なかなかすぐには難しいと思うが、ウクライナがアメリカの支援が止まっただけで、全部自分たちの生存を諦めるかというと、そうではない。これは絶対に忘れてはいけない観点」だと述べた。さらに、長期戦になるほどウクライナ不利というイメージもあるが、「まずくなったらなんとかするのがウクライナ。すぐには終わらないとは思う。ロシアも思ったようには進めていない。だから今のペースで進んでいって、やっと1年かけてドネツク州全部を占領できる計算になっているので、ロシアにとってもそれを本当に続けられるかも分からない」とした。 (『ABEMA Prime』より)
ABEMA TIMES編集部