Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

振付ユニット CRE8BOY、“キャッチー”を大事にする理由 平手友梨奈、野口衣織らパフォーマーとしての魅力にも言及

配信

リアルサウンド

 J-POPシーンの最前線で活躍する振付師にスポットを当て、そのルーツや振付の矜持をインタビューで紐解いていく連載「振付から紐解くJ-POPの現在地」。第8回となる今回は、CRE8BOYに取材した。“振付ユニット”として活動する彼らのルーツやスタートを振り返るとともに、後編となる本稿では、彼らが振付を手掛けてきたアーティストの中で魅力的だと感じたパフォーマンスや、“ダンサーを増やす”のではなく、“ナチュラルにダンスを楽しむダンス人口を増やしたい”というCRE8BOYの思い、また、今後一緒に仕事してみたいアーティストなどについて話を聞いた。(編集部) CRE8BOY(撮影:池村隆司) ■平手友梨奈、野口衣織、フェアリーズ……振付師からみたパフォーマンスの凄み ――日向坂以外にも乃木坂46や複数のAKB48グループの振付を手掛けられていますが、グループごとのダンスのカラーをどういう風に捉えていますか? 秋元:乃木坂46はスタッフさんからも“可憐に美しく、エレガントに”というワードが出てくるので、自然にそういう雰囲気が作品を通して見えるようにしたりといった振りの色分けの仕方はしてますね。たとえば日向坂だったら腕を元気いっぱいに伸ばすところを、乃木坂だったら手を差し伸べるような感じにしてみたり。 ――白石麻衣さんの卒業シングル曲「しあわせの保護色」は振付にあたってはどういうポイントを意識されましたか? MV用の振付と歌番組やライブ用の振付がそれぞれあって、かなり悩まれた部分もあるかと思うんですが。 秋元:そうですね、あの曲は楽曲やMVの完成までにイメージが二転三転したりしたので、そこまでが本当にすごく大変でした。 山川:でも最終地点として白石さんが悔いなく卒業できる曲にしようということで、衣装からサウンド面や僕らの振付についても、綿密にみんなで相談しながら進めました。わりといつも振付は固めて出すことが多いんですけど、この曲では目線をどこにどう向けるかとか、些細な点も細かく相談しながら完成させて。 ――SNSでCRE8BOYさんの振付に言及しているツイートがたくさんあるんですけど、この曲では卒業メンバーを囲むように円を作る振付が好きだという声が多かったですね。 秋元:MVはプロム(注:アメリカなどで高校の学年最後に行われるダンスパーティ)っぽくというのがテーマだったので円を作るダンスや、ペアで手を繋いだりするシーンのヒントになっていましたね。 ――2017年の『FNS歌謡祭』で欅坂46時代の平手友梨奈さんが平井堅さんの「ノンフィクション」で踊った時に、振りの中で歌詞を忠実に再現したり、情景が見えてくるようなダンスが話題になりました。CRE8BOYさんの振付には感情が強く出ているなと感じます。 秋元:時間が取れる限り振付や作品についても話すようにしているので、そういうステップがあると、どんどん踊り手にとっても作品の輪郭がはっきりしてくるし、かつ、見る人にもより伝わりやすくなってくるだろうなと思います。 山川:なかなか難しいんですけど、振り入れと同じくらいその曲について話す時間があったらなとは思いますね。 秋元:初めてAKB48の振付をやらせてもらった時には「こんなタイトな時間でやるんですか?」って驚いた記憶があります。 山川:本当に忙しいメンバーだと10分振り入れで「はい本番!」とか。 秋元:でもAKBグループの選抜に選ばれてくるような子たちはとくに振り覚えが早くて驚きますね。あっという間に覚えていくので、鍛えられてるなと。 ――さっき平手さんの話が出ましたが、彼女の欅坂時代のソロ曲「角を曲がる」の振付もされていますね。 秋元:「ノンフィクション」があって、その流れでMVの振付のお話をいただきまして、内容的には映画『響 -HIBIKI-』の監督の月川翔さんがプランを考えて下さったんです。その結末に、2人の平手さんが出てくるんですが、鬱々として座り込む平手さんと晴れやかに踊る平手さん、最後にどちらをフィーチャーするのかについて、結構みんなで悩みました。MV撮影の時も、「ノンフィクション」の時もそうでしたが、彼女は常にギリギリまで悩み続けてそのまま本番に行くところがあって。「角を曲がる」の時も最後の最後まで「どういう気持ちで踊るのか」「どういう気持ちであそこに立つのか」みたいなことをギリギリまで話して決めましたね。 ――実際にパフォーマンスを『ミュージックステーション』で披露した時には晴れやかに踊る方が採用されましたよね。 山川:本人が心の底でどう思っているかはわからないですけど、見てくれている人に曲の理解度を深めてほしいというのが一番強い気がしたんです、言葉尻からそういうものを感じたというか……。「この曲の世界が一番伝わるためにはどうしたらいいのか?」ということを考えに考えて、あの曲の最後に、全部包んでくれるような表情で終わった方がこの曲がちゃんと理解してもらえるんじゃないか、という結論でそちらをチョイスしていた気がします。 ――それを受け取ったリスナーそれぞれに曲について考えてほしいということですよね。振付する側のお二人から見た、パフォーマーとしての平手さんはいかがですか? 秋元:最高ですかね。自分たちが付けた振りの持つパワーを倍にして返してくれるし、より高めあえる気がします。なので、表現者として本当に出会えて良かったなと思います。あの曲は彼女でなければ成立しないものだったと思うので、彼女に踊ってもらえて本当に良かったという気持ちもあります。 山川:僕らは枠組みを作って提供をする側で、その枠組みをどう使うかは人それぞれなんですけど、平手さんの場合はその枠組みをバーンと取っ払ってしまうような感じなんです。僕らが作った枠組みに対して、その可能性をもっと広げてくるというか「そういう方法もあるよね」的なアハ体験をさせてくれるところがある。表現者としてもすごいんですけど、その中にクリエイティブを感じるところがすごくあって、作り手側の目線も持ち合わせているような印象です。 ――ちなみに今までに振付を手掛けてきたアーティストの中でパフォーマンスが魅力的だと感じた方はどなたですか? 秋元:=LOVEの野口衣織さん。「手遅れcaution」を見てほしいです。ライブがまた、すごいんですよ。 ――アイドルでありいち表現者というか、最初に出てきた時にはいい意味で浮いて見えました。 山川:僕らが作った枠組みの中の空間を埋め尽くしてくるタイプですね。一度イベントで「手遅れcaution」を青空の下で観たんですが、ポップでパステルカラーの背景なのに、あの子の勢いだけでガラッと場の雰囲気が変わるんですよ。何度見ても拍手したくなります。 秋元:どうしても見たくなるよね。=LOVE自体が面白いなと思うんです。たとえば「手遅れcaution」を踊るときに過剰な感じを出すのが普通なんですけど、諸橋沙夏さんはみんなが熱くなっているのにスッと引いて軽くウインクして、“悪い女”的なパフォーマンスをしたことがあって、あの曲で引き算ができる表現力がすごいなと思いました。あとグループでいうと、SKE48の「金の愛、銀の愛」が僕たちのAKB48グループで一番最初の振付作品なんですけど、ぜひYouTubeでパフォーマンスを見ていただきたいです。今振り返っても、みんながすごい表現をしてくれたなと思います。 山川:歌割がある子は歌に集中してほしいので、振付にもちょっと隙間があるんですよ。でも、動画で見返したりすると、表情や手の使い方とか、曲の世界観を感じるような動きを自分たちで出したりしていて、SKEの子たちはそれをよくやってくれたなあと。 ――彼女たちはとくにダンスパフォーマンスに強いグループというイメージがあります。 秋元:そうですね。歴代の先輩がみんなしっかりしているから、リハーサルのときにメンバー内でも注意しあってくれるんですよ。それが他のグループにはあまりない傾向だと思います。SKEは元気に頑張って踊ることを大事にしているし、そこも面白くていいですよね。 山川:僕らが言わずとも「みんな聞いて!」って始まりますからね。ちょっと体育会系なところもSKEの良さというか。 ――テクニカル面でいったら近年のシングル表題曲のほとんどを手掛けているフェアリーズもすごいですよね。 山川:彼女たちは、もうプロすぎるんです。 秋元:シンプルにダンスが上手い。しかもその上手さが、ダンサー目線で見た上手さで、体の使い方を熟知しているんですよね。例えばアイドルの子たちの振付に入れるには難しかったり細かすぎるような動きでも、フェアリーズなら細かい動きや表現を揃えてお客さんに伝えることができるから、振付にあまり制約を入れなくていいし、何でもやってくれるから素晴らしいですね。 ――ライジングプロダクションのアーティストらしさとしてシンクロ感を重視したダンスがあると思うんですが、「Synchronized ~シンクロ~」なんかは歌詞の世界観をダンスでもバチッと表現しているような……。 山川:そうそう、揃いすぎて怖かったです。あれでガッツリ歌うんですからバケモノですよね。あんなアーティスト、しかも女の子のグループではなかなかいないんじゃないかなって思っちゃいます。

【関連記事】