流通経済大柏、我慢比べを制して中央学院にPK戦で勝利。決勝で因縁の相手市立船橋と対戦
最後の最後まで“我慢比べ”だった。 10分ハーフの延長を含め、100分間を戦い終えてもスコアは動かず、ついにPK戦に突入。5人ずつが蹴った段階で両チームともにひとりずつが失敗し4-4と互角の状態が続く。勝負の行方は“サドンデス”へともつれ込んだ。 まさに、デッド・オア・アライブだ。会場は一段と緊迫した空気に包まれ、だれもが固唾を飲んで見守った。 先にける中央学院の6人目がクロスバーを叩く。ガックリとうなだれる相手選手のあとに、PKマークにボールを置いたのは流通経済大柏のGK松原颯汰(3年)だ。「PKの練習はよくやっているので、自信があった。周りから“蹴って来い”といってもらったし、しっかり決めるつもりで蹴った」 【フォトギャラリー】流通経済大柏 vs 中央学院 我慢比べに終止符を打った松原にチームメイトが次々に歩み寄り、静かに喜びを分かち合う。ここ数年、急速に力をつけてきた中央学院の踏ん張りに手こずりながらも優勝候補の一角である流経大柏が11年連続の決勝進出を果たした。 こう着の要因は中央学院の現実的な戦い方にあったといっても過言ではないだろう。流経大柏の榎本雅大監督が試合後、こう振り返っている。 「真っ向勝負を仕掛けてくるのが中央学院だと思っていたので、これまでとは違って守備に力を入れていたというか、そこは少し意外な印象を受けた。何回かチャンスを作っていたけれど、最後のところで精度が足りなかった」 20分過ぎに川畑優翔(2年)が立て続けにチャンスを迎え、後半から登場したエースの森山一斗(3年)がチーム最多の5本のシュートを放つ。たびたび中央学院ゴールに襲いかかったものの、“1点”が遠かった。 キャプテンの藤井海和(3年)は「ペナルティエリアまで進入できていたけれど、なかなか決めきれなかった。(相手の粘り強い守備に対して)攻撃がちょっと単調になってしまったかもしれない」と、反省点を口にした。スコアレスドローからのPK戦だけにその胸中は穏やかであろうはずもない。が、「うちには松原がいる。PK戦になっても負けるとは思っていなかった」と強気の姿勢を崩さなかった。 全国への切符をかけた決勝の相手は、宿敵の市立船橋だ。8年連続同カード。昨年度は2-3で惜敗しているだけに借りを返す好機を得た。 (文・写真=小室功)