メタバース幻滅期は抜けた!リアルとデジタルがつながる時代は、もう来ている #Metaverse Japan Summit 2024
空間コンピューティングでリアルとデジタルが地続きに
昨年からのもうひとつの注目ワードが、Appleが提唱する「空間コンピューティング」です。Apple Vision Proが今年夏に日本でも販売開始され、その世界がいよいよ現実味をおびたものになってきました。 「Apple Vision Proが拓く、空間コンピューティングの未来」のセッションでは、東京大学教授の三宅陽一郎さんとVRアーティストのせきぐちあいみさん、KDDI株式会社の中馬和彦さんが、その可能性について語りました。 せきぐちさんは、8年前からVR空間に3Dの絵を描くアーティストとして活動し、さまざまなデバイスに触れてきました。Apple Vision Proの性能の高さは、「初めてVRデバイスを触ったとき以来の衝撃」だと話します。 会場では、実際にせきぐちさんがApple Vision Proを装着し、指を使って空間に絵を描く様子が披露されました。 今までのデバイスにもハンドトラッキングに対応しているものはありましたが、描いている途中で線が途切れたり誤認識があったりして、実用的ではなかったんです。 Vision Proはそういったことがまったくなく、指の操作だけでスムーズに描くことができます。(せきぐちさん) さらに、解像度とカメラからの画質も圧倒的によく、ほかのデバイスとの連携も期待できることから、「アート制作に限らず、いろいろな活用の幅がすごく広がる」と期待をよせました。 中馬さんは、「スマホの登場で世の中が変わったように、XRデバイスも次の本命を待っていた」として、その本命こそがApple Vision Proだと話します。 リアル空間では皆が同じ街を見て、同じものを触って同じ空間を共有していますが、これはずいぶん不自由です。リアルとデジタルが地続きになることで、リアル空間もパーソナライズされるようになるはずです。(中馬さん) たとえば、ネットの世界でAmazonのおすすめ商品やNetflixのおすすめ動画に表示されるものが人によって異なります。それと同様に、リアル空間でもパーソナライズされた情報が目の前に表示されるのが当たり前になっていくとのこと。 三宅さんも、「空間コンピューティングができると、これまで区別されていたリアル空間とデジタル空間が地続きになる。ひとつにまとまって新しい現実になる」と予測します。そして、その先にあるのはスクリーン時代の終焉だといいます。 20世紀はスクリーンの時代でしたが、それがようやく終わるのだと思っています。これまではコンピューターを使うためにいわば身体を失っている状態でした。 スクリーンから解放されることで全身を使うことが復活し、人間とコンピューティングが融和する時代がやってくると思います。(三宅さん)