「60万円で移住して結婚したい人なんていない」炎上した「移住婚」、それでも宇都宮には女性が殺到したワケ
博史さんとマッチングしてから、アプリ上でのやり取りはとても盛り上がったといいます。彼の住む街にも興味が湧き、連休を使って会いに行ったときには博史さんも彼の両親も手厚くもてなしてくれました。 しかし「おや?」っと思うことも多かったそうです。 「あの家は娘が出戻りなんだ」「あの人はいい年してまだ独身」「近所の〇〇さんはお母さんが病気しがちで体が弱いんだ」などと他人の噂話が多かったといいます。彼らには他人のプライバシーに対する意識が高くないようなのです。
数日滞在して、これは博史さん個人の性格というよりも、そのコミュニティの文化や習慣の影響が大きいと気が付きました。 おまけに、「結婚したら子どもを産んでほしい。生活費は渡すから家のことは全部やってほしい」と、結花さんの気持ちや都合を無視した一方的な希望を聞かされたのです。 「30年前ぐらいの感覚で止まっているような意見に、今後、価値観の違いを乗り越えられるとは思えませんでした」(結花さん) 彼とはそれ以上、距離を縮めるのをやめました。
結花さんはその後、東京都出身で都内の会社に就職し、転勤で北関東の都市に住んでいる啓太さんとマッチングします。 啓太さんとは東京やお互いの中間地点でデートを重ね、半年後に入籍しました。博史さんに感じたような、結婚生活の障害になりそうな文化や習慣の違いを感じることはなかったそうです。 啓太さんも子どもを希望していたそうですが、ただ「産んでくれ」ではなく、「自分も育休を取得するし、出産にかかる費用も出すから子どもが欲しい」と、話し合う場を作ってくれました。
■60万円で移住婚したい女性はいない もちろん、地方の人だから古い価値観だったり、都会人だから女性に寄り添った考えを持っていたりするとは限りません。地方でも女性を尊重してくれる方はもちろんいるでしょう。 問題なのは、結婚を伴わなくても、安易な移住は失敗することが多いということ。目先の60万円だけで女性を釣るような方法で地方移住を推奨しても、はたしてうまくいくのか疑問です。大事なのは、結婚することよりも、その後の生活だからです。