『夢と金』から広まった「VIP戦略」だが、誤って理解している人が多すぎる! 西野亮廣の特別授業!――VIP席として「最前列」を用意している人、それ大間違いです!
基本姿勢は「あなたナイズ」
僕はよく「VIP向けのサービスの基本姿勢は『あなたナイズ』」と言っているのですが、VIP向けサービスは、すでにあるサービスにVIPを落とし込むのではなく、VIP一人一人に向けて一つずつサービスを作ることが大切です。 「作った商品を買っていただくのではなくて、買っていただけることが決定している商品を作る」という感じです。 そんな中、先日、我々CHIMNEY TOWNはファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』のVIP席を購入してくださった御客様一人一人に「お手紙」を贈らせていただきました。 チケットではなく、「VIP席を購入してくださったあなたのおかげで、今日の挑戦があります」という感謝の気持ちを綴った、ただのお手紙です。 もちろんスタッフには、公演当日に、誤ってこのお手紙をチケットだと思って持って来られたVIPのお客様に対して「チケットがないと入れません」など言わず、「西野から聞いておりますので」とキチンとお席にご案内するように伝えています。 #あなたナイズです ちなみに、この「お手紙」ですが、VIPチケットの購入ページに「特典でお手紙をお届けします」とは書いてないんです。 CHIMNEY TOWNからサプライズでお贈りさせていただいたのですが、VIPサービスのコアは多分ここで…多くのイベント主催者は二言目には「VIP特典」の話をするのですが、それより何よりVIPの方に伝えなきゃいけないのは、「CHIMNEY TOWNはスタッフ一同、本当にあなたに感謝しています」というメッセージで、恋人や奥さんになんでもない日にプレゼントを渡すように、「いつも助けてくれるあなたに、感謝の気持ちを伝えたくて、プレゼントを買いに行ったり、プレゼントを作ったりする時間を設けました」ということだと思うんです。 なんで、ここまで熱く語っているかというと、先日の講演会終わりで、お客さんと飲み散らかしたのですが、そこにファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』のVIP席を購入してくださったお客様がいて、その方が「手紙が届いたんです! 本当に、本当にありがとうございました!」と目に涙をうかべながら僕に御礼をしてきたんです。 御礼をしなきゃいけないのはコッチの方じゃないですか? なので、二人とも向かい合ってペコペコしてたんですけども、この関係が最高じゃないですか? VIPとの関係はこれだと思います。 西野亮廣/Akihiro Nishino 1980年生まれ。芸人・絵本作家。モノクロのペン1本で描いた絵本に『Dr.インクの星空キネマ』『ジップ&キャンディ ロボットたちのクリスマス』『オルゴールワールド』。完全分業制によるオールカラーの絵本に『えんとつ町のプペル』『ほんやのポンチョ』『チックタック~約束の時計台~』。小説に『グッド・コマーシャル』。ビジネス書に『魔法のコンパス』『革命のファンファーレ』『新世界』。
TEXT=西野亮廣