プールサイドの「編み物王子」 初のニット作品展を東京で開催
精細な技術と、カラフルな色彩に驚かされる。水泳の男子飛び込みで活躍し「編み物王子」とも呼ばれたトーマス・デーリーさん(30)=英国=による初のニット展覧会「Made with Love by Tom Daley」が、パルコミュージアムトーキョー(東京都渋谷区)で開かれている。 【写真特集】プールサイドの「編み物王子」の作品 2021年に開催された東京オリンピックのシンクロ高飛び込みで金メダルに輝いた際、競技の合間にプールサイドで編み物をする姿が注目を集めたデーリーさん。編み物からポジティブなパワーや安らぎを感じ、緊張感をほぐしたといい、展示会場にはその心象風景を映し出したような、キュートなニット作品がずらりと並ぶ。 デーリーさんは13年にゲイであることを公表している。銀メダルを獲得した24年のパリ五輪後に現役引退を表明し、現在は同性婚のパートナーと子育ての様子をSNS(ネット交流サービス)で発信している。 展覧会は、日本国内で同性婚の法制化を目指す公益社団法人マリッジ・フォー・オール・ジャパンが、「いいふうふの日」の11月22日に合わせて企画した。団体の広報担当者は、多様性の観点から「夫婦」ではなく「ふうふ」と表記しているといい、「デーリーさんの作品が想像以上に本格的で驚きました」と語る。 展示会場では22日、ゲイ当事者のカップルによるトークイベントも開かれた。デーリーさんはビデオメッセージを寄せ、「愛している人と結婚できる選択肢があったことによって、自分らしくいられるし、相手に気持ちを伝えられることが本当にうれしい。同性婚という選択肢をかなえられたら、力が生まれてくる。みなさんと一緒にこのイベントを通して、必ず社会を変えられると願っています」と語った。 展覧会は25日まで。デーリーさんの意向で、展示しているニット作品の一部はチャリティーオークションに出品し、収益金がマリッジ・フォー・オール・ジャパンに寄付される。【杉田寿子】