『トップガンM』本職から見ると“あり得ねぇ~!!” シーンあり? 「これは分かってるわ」と舌を巻く場面も
「現場分かってる!」とF-14操縦士が驚くシーン
・敵のF-14を盗んで敵国からの脱出を決心したマーヴェリックとルースターが急いでF-14の始動をはじめるシーン。ホームベース(本拠地)であれば、機体各部に取り付けられているカバーやピンを外す作業を地上スタッフが行います。ただ、このシーンのように地上スタッフの手を借りることができない出先の飛行場では、乗員自らが行うそうで、これが再現されています。 ・エンジン始動の手順について、機種ごとの違いが再現されている点。F/A-18は、機内にAPUと呼ばれる補助動力装置を持っているため自力でエンジンを始動することが可能ですが、F-14にはAPUが搭載されていないため、外部スターターユニットをつないでエンジンを始動させます。作中でマーヴェリックがルースターに操作方法を教えた機械がこれです。 ・F-14には折り畳み式のはしごが内蔵されていて、それを使って乗員はコックピットによじ登ることができます。このはしごは乗員が乗り込んだ後に地上スタッフによって折り畳まれますが、地上スタッフがいない出先の飛行場では、パイロットがはしごを上った後に後席に乗るレーダー管制士官(RIO)が梯子をたたみ、RIOは尾翼を足掛かりにして機体に上り胴体上を歩いてコックピットに乗り込みます。これも再現されているポイントです。 ・F-14のコックピットは前席のパイロット席には飛行計器が中心に配置され、レーダー操作を担当する後席のRIO席にはレーダーをはじめ電子機器類が配置されています。 RIO席に初めて乗ったルースターが「サーキットブレーカーが300もある。」という台詞、そして、敵を一掃して空母と連絡を取るためにUHF(極超短波)無線機のスイッチに関してルースターがマーヴェリックに質問すると「それは(おまえの)親父さんの専門だ。」と答える場面は実際に乗っていた者にはとても懐かしく感じたシーンだったようです。 ※ ※ ※ こういった経験者からのコメントが寄せられていますが、『トップガン マーヴェリック』では、前作に比べて、より細部にわたって綿密な検討や実際の現場の再現を踏まえて製作された作品ということは間違いないでしょう。 それらを鑑みると、航空機を題材にした映画で『トップガン マーヴェリック』を超える作品を撮るのは相当難しいのでは、と筆者(細谷泰正:航空評論家/元AOPA JAPAN理事)は想像しています。
細谷泰正(航空評論家/元AOPA JAPAN理事)