2024パリ五輪、初の「託児所」がママアスリートの“夢の実現”をサポート
今回のパリ大会では、エントリーした女子選手が5503人となり、男女の比率は51対49になったと報告されている。つまり、選手の男女比がほぼ同数になるまでに、100年以上を要したことになる。
射撃競技のクレー・スキートに出場したアンバー・ラター(旧姓ヒル)が祖父の手ほどきを受け、クレー射撃を始めたのは10歳のときだった。16歳でイギリス『BBC』が主催する「ヤング・スポーツ・パーソナリティ・オブ・ザ・イヤー」を受賞。その後、オリンピック代表選手となった。
夫と知り会ったのは、16歳のとき。すぐに家庭を持つことを考え始めたというが、当時の彼女にとって、それはオリンピック出場を果たした後でなければ、実現できるはずがないことだったという。
「自分の人生を8年単位で考えていました。ワークライフバランスは取れていると思っていましたが、振り返ってみると、そうではありませんでした」 「そのことに気づいたのは、(新型コロナウイルスに感染したことで、出場した)東京オリンピックの試合を棄権した後でした。あのとき初めて、『なぜ両立は無理だと自分を説き伏せ、これほど長い時間を無駄にしてきたのだろう?』と思いました」
自分中心でなければ、オリンピック出場選手になれない
スピードスケートの代表選手として3回のオリンピック出場経験があり、現在はパーソナルトレーニング・ジムを経営するサラ・リンゼイは、女性アスリートが成功することについて、こう述べている。 「オリンピックに出場できるレベルの選手になるには、自分中心でいなければなりません。すべてのことを、自分と自分のパフォーマンスに集中させなければならないのです。最終的に責任を負うのは、自分自身なのですから」
ラターは、次のようにも述べている。 「私はずっと、射撃以外のことは後回し、子どもは『後で』持つことができると思い込んでいました。ですが、なぜそうでなければいけなかったのでしょう?」 大規模なスポーツイベントで、女子選手が必ずしも十分な報酬やサポートを受けられずにきたことについて、前出のケニーは、それを大きく変えたのは「ライオネス」の愛称で知られるイングランド女子サッカー代表チームだったと考えている。