2024パリ五輪、初の「託児所」がママアスリートの“夢の実現”をサポート
オリンピックへの出場経験があるイギリス人女性アスリートでただひとり、4個の金メダルを獲得するという偉業を成し遂げているローラ・ケニー(旧姓トロット)は、自転車競技の選手としてキャリアをスタートさせたころ、「母親になれば、引退するしかない」と考えていたという。 【写真】2024パリ五輪、セレブ&アスリートの豪華衣装まとめ
「子どもがいないことが、暗黙のルールでした……キャリアを積むか、家庭を築くか、どちらか選ばなければならないと思っていました」
彼女がその考えを変えるきっかけになったのは、陸上競技のジェシカ・エニス=ヒルが2014年、第1子を出産したことだった。引退の憶測が飛び交うなか、出産からわずか9カ月後に北京で開催された世界陸上競技選手権に出場。7種競技で金メダルに輝いたエニス=ヒルは、自らに対する批判が見当違いなものだったことを証明した。
それから3年後の2017年、前年のリオオリンピックで2度目の金メダル獲得を果たしていたケニーは、第1子を出産した。 2024年のパリオリンピックは、史上最もジェンダーバランスの取れた大会になったと評価されている。そして、子どもを持つ女性アスリートたちのことを考えたさまざまな措置が講じられており、選手村には初めて、託児所が開設された。
また、フランス国立オリンピック・スポーツ委員会(CNOSF)は大会期間中、自国の代表選手が授乳のために使用できる部屋を市内のホテルに確保している。 選手たちがより無理のない形で「親でいられる」ようにするためだという。 CNOSFのアストリッド・ギヤール事務局長は『ル・モンド』紙に対し、「社会は変化しています。これは、フランスの代表選手たちのニーズに見合った措置です」と述べている。
キャリアを積むことと出産、どちらか選択しなければいけないと思っていた
歴史的に、主要なスポーツイベントは女子選手を平等に扱ってこなかった。古代オリンピックが始まったのは2700年以上前だが、女性の出場が認められるようになったのは、1900年代になってから。そのときも、女子選手が出場できる種目はテニスとゴルフのみで、総勢997人の出場選手のうち、女性はわずか22人だった。