越谷「レイク」タウンの名前の由来の調節池、「年182万円以上」で埼玉県が命名権公募
越谷レイクタウン(埼玉県越谷市)にある「大相模調節池」について、埼玉県は命名権(ネーミングライツ)を公募している。県施設での公募は県防災学習センター(鴻巣市)に次いで2例目。財政が厳しさを増す中、貴重な収入源として、県は命名権の公募を拡大していく考えだ。
調節池は1周5・7キロで、水害対策として2014年に整備され、レイクタウンの名前の由来となった。大雨時には最大120万立方メートル(東京ドーム約1杯分)の水を元荒川から引き込む。周辺の一部が開放されており、市民の憩いの場となっている。
今回の公募では、命名権の契約額は年182万円(税抜き)以上で、5~10年契約を条件としている。応募締め切りは26日。集まってきた案の中から県が名称を選定し、来年2月頃から愛称の使用を始める予定だ。契約により得られた金額は、調節池で実施されている水質改善事業に充てられる。
県と越谷市は22年から、民間企業を誘致し、水上デッキやカフェといった飲食店の整備を進めている。県河川環境課の担当者は「愛称を通じて、調節池により親しみを持ってもらいたい」と期待している。
自治体が持つ施設などの命名権の公募は、2000年代前半から全国的に広がった。県内ではさいたま市が07年、大宮公園サッカー場を「NACK5スタジアム大宮」に、今年は浦和総合運動場野球場を「アイル・スタジアム浦和」にした。
県施設では、命名権公募の第1号として、県防災学習センターの愛称を募った。期間は今年10月から来年度末までで、各年度に「50万円以上」を支払うという条件で募集したところ、2企業から応募があった。そのうち防災機器メーカー「能美防災」(東京都千代田区)が取得し、愛称は「能美防災そなーえ」に決まった。
社会保障費の増大などで県の財政難は深刻な状況にある。25年度当初予算の編成方針によると、1433億円(一般財源ベース)の財源不足が見込まれている。知名度の高い県施設としては「埼玉スタジアム2002」や「県こども動物自然公園」などがある。大野知事は「独自の財源確保策」として、今後も命名権の公募に積極的に取り組んでいく考えを示している。