【12月の年金振込までにチェック】厚生年金や国民年金から「天引き」されるお金とは
2024年9月15日に総務省が発表した「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」によると、総人口が減少する中で、65歳以上人口は3625万人と過去最多となり、総人口に占める割合は29.3%と過去最高でした。 ◆【表・グラフ】令和シニアの「厚生年金・国民年金」全体&男女別平均月額(出所:厚生労働省年金局) また日本の65歳以上人口の割合は、世界で最高(200の国・地域中)という結果も出ています。 日本は出生率の低下および平均寿命が延びていることもあり、超高齢化社会が進行しています。 超高齢化社会により、労働力の増加、医療・介護費用の増加、年金制度の持続可能性問題、若年層への負担増加など、さまざまな問題が浮かび上がっています。 筆者は元信用金庫職員ですが、偶数月の15日は、窓口やATMに年金を引き出しに来店されるお客様が多かったことを思い出します。 さらに超高齢化社会が進行すれば「公的年金だけで老後生活できるのか不安」と思われる方も多いことでしょう。 本記事では、老後を迎えてから慌てることのないよう、見落としがちな年金のしくみについて確認していきます。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
老後の年金にも「手取りと額面」があった。天引きされるのはどんなお金?
老後の年金にも「手取りと額面」があることを知っていますか? 現役世代が毎月の給与から税金や社会保険料を差し引かれるように、シニア世代が受け取る老齢年金からも、一定の税金や社会保険料が差し引かれます。 このしくみは公的な文書では「特別徴収」と表記されていますが、「天引き」という表現の方が直感的に分かりやすいかもしれませんね。 老齢年金から「天引き」されるそれぞれの項目の内容を知っておくことは、年金生活に入ってからの家計管理や生活設計をおこなう上で大切です。 次に、老齢年金から控除される主なお金を4つ、整理してお伝えしましょう。 ●【老齢年金から天引きされるお金 その1】個人住民税および森林環境税 一定の条件を満たす場合、前年の所得に基づいて課税される住民税は、老齢年金から直接天引きされます。 ただし、所得が一定額以下で住民税が非課税となる場合には、天引きはありません。 2024年度からは個人住民税とあわせて森林環境税(年額1000円)の徴収が始まり、10月支給の公的年金からの天引きがおこなわれています。 ●【老齢年金から天引きされるお金 その2】所得税および復興特別所得税 老齢年金は所得税法の「雑所得」扱いとなるため、所得税の課税対象となります(※)。老齢年金からは、所得税および復興特別所得税も天引きされます。 ※遺族年金や障害年金は所得税および復興特別所得税の課税対象にはなりません。 ●【老齢年金から天引きされるお金 その3】介護保険料 介護保険料は、40歳から64歳までは健康保険料と合わせて納付しますが、65歳以降は介護保険料単体で納めます。 年金支給額が「年額18万円以上」の場合、介護保険料は年金からの天引きとなるのです。 介護保険料の支払いは「生涯続く」点は知っておきましょう。要介護・要支援認定を受けて介護保険サービスの利用が始まった後も、介護保険料はずっと支払う必要があるのです。 ●【老齢年金から天引きされるお金 その4】健康保険料 年金受給額が年額18万円以上の場合、国民健康保険や後期高齢者医療制度の保険料は、原則として年金からの天引きで納付するしくみとなっています。 ●年金振込通知書は要チェック このように老齢年金から、各種税や社会保険料が天引きされます。 毎年6月に届く年金振込通知書には、天引きされる内容の詳細が記載されており「年金の支給額(額面)」と「実際に振り込まれる金額」の差を確認することができます。