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がんにならないために1日6000歩を目指す|親子で考える「がん」予習ノート

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サライ.jp

医学博士である『親子で考える「がん」予習ノート』(一石英一郎 著、角川新書)の著者は本書の冒頭で、「がん授業」の話題を取り上げている。 2020年度から実施される新学習指導要領に「がん教育」が明記されることが決まり、その準備が進んでいるというのだ。 日本では毎年約100万人もの人に新たにがんが見つかり、30万人以上ががんで亡くなっています。がんは日本人最多の死因であり、何らかのがんになる確率は日本人の男性で62%、女性で47%です。がんで亡くなる確率は男性25%、女性15%と推測されています(国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」の2014年、2017年データより)。(本書「はじめに」より引用) もちろんこれは患者本人の数字だが、がんは患者と医者だけでどうにかなるものではない。必然的に、患者のことを心配する家族や友人などの問題にもなってくるからだ。そういう意味では、近親者を含む1億2000万人の全国民に関係する、最も身近な重大病だと考えられる。 そして当然のことながら、身近な人ががんになったとき、最も強いダメージを受けるのは多感な時期にある子どもたちだ。ちなみに国立がん研究センターの推計(平成27年)によれば、親ががん患者である18歳未満の子どもの総数は約8万7000人。 したがって、子どもたちが中高生に差しかかるころに「がん年齢」を迎えることになる親たちは、がんについてより深刻に考えなければならないということになる。 がん年齢とは、がんの発症が急激に増える40歳以上を指すが、20代後半で子どもを授かった親は、みなこの世代にあてはまるわけだ。 そんな人たちが予備知識のないままがんに侵されたとしたら、当人はパニックになり、動揺を隠せなくなるかもしれない。するとその動揺は、子どもたちの心や生活を必要以上に激しく揺さぶることになるだろう。 重要なのは、言うまでもなく「正しい知識」である。「がんはすぐ死ぬ不治の病」などということは“過去の常識”だということを知ってさえいれば、ショックは和らぎ、前向きな気持ちでいられるわけだ。 いまは医学の進歩で早期発見・早期治療が可能になり、がんの5年相対生存率は6割を超えています。「治るがん」、「怖くないがん」も徐々にわかるようになってきました。がんは「必ず死ぬ病気」から糖尿病や高血圧などと同じく、完治はしなくても「一生付き合っていく病」に変わりつつあるのです。がんと共生するための社会整備も徐々に整っています。(本書「はじめに」より引用) がんにかかった当人にしても、その子にしても、正しい知識を正しく身につけておけば、不安や怖さも軽減できるということ。また、「がんが消える△□療法」というような根拠のない情報、偏った治療法などに振り回されることもなくなる。 だからこそ、がん患者になる前からがんを「予習」しておくことが大切なのだと著者は強調している。 そこで、本書の出番である。 今回、がんの成り立ちから治療法まで可能な限り新しい情報を交えた解説を試みました。専門書ではありませんので小難しい表現を避け、がんの大枠をわかりやすく書くことに努めました。(本書「はじめに」より引用) 「がん細胞の10の特徴」「なぜがん細胞は勝手に増殖するのか」など、専門的な知識がなくとも知っておきたいトピックスがコンパクトにまとめられており、とても興味深く読み進められる。 読者を限定しないため、小さな子どもがいる親はもちろんのこと、すでに子どもは成人したという世代の方にも有効な内容だ。 ここでは第6章「がんにならない方法」のなかから、「1日6000歩を目指す」をご紹介しよう。 国立がん研究センターの報告によると、男女ともに、体を動かしている量が多い人ほどがんになるリスクが低いという。具体的には、男性では結腸がん,肝臓がん、膵がん、女性では胃がんのリスクが低下したと報告されているというのだ。 国立がん研究センターが推奨している活動量は、例えば歩行またはそれと同等以上の強度の身体運動を1日60分または、息がはずみ汗をかく程度の運動を1週間に60分程度です。(本書242ページより引用) 60分の歩行といっても年代や体格、性別によって異なるが、仮に1分間に100歩とすると6000歩ということになる。しかも、これは1日の総歩数。 掃除、洗濯、料理、あるいは会社でのコピー取りや打ち合わせなど、日常の細かな動きを含めれば、それほど無理なく達成できるのだ。 なお「平成29年国民健康・栄養調査結果の概要」によると、国民の1日の歩数(20歳以上)の平均値は、男性6846歩、女性5867歩。1日あたりの歩数が8000歩以上の国民(「20~64歳」の割合は、男女とも5割を下回っているのだそうだ。 なお歩行量については「1日1万歩が目安」と言われることがあるが、その起源は1960年代に日本で流行した「万歩計(商標名)」にあるのだとか。つまりは“宣伝”が“常識”として定着したにすぎないということである。 むしろ、ほとんど歩くことのない現在の中高年が1日1万歩を続けると、膝や腰を壊す危険もあるので注意が必要。「無理しない範囲で毎日継続」がいちばんいいのだ。 最近は信州大学の能勢博教授頼により、“さっさか歩き”と“ゆっくり歩き”による「インターバル速歩」を1日15分・週4回以上続けることで体力が向上し、5カ月で生活習慣病指標が20%改善することが実証されているという。 そうした「できる範囲での積み重ね」が、ひいてはがん予防につながっていくのだろう。 『親子で考える「がん」予習ノート』 著者:一石英一郎 定価: 990円(本体900円+税) 発売日:2020年02月 文/印南敦史 作家、書評家、編集者。株式会社アンビエンス代表取締役。1962年東京生まれ。音楽雑誌の編集長を経て独立。複数のウェブ媒体で書評欄を担当。著書に『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)、『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』(KADOKAWA)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)などがある。新刊は『書評の仕事』 (ワニブックスPLUS新書)。2020年6月、「日本一ネット」から「書籍執筆数日本一」と認定される。

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