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科学とシャーマニズムの融合 少数民族の村をめぐる移動診療所 ミャンマー

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AFPBB News

(c)AFPBB News

【5月16日 AFP】健康ボランティアとしての訓練を受けているタン・ピ(Htan Pi)さん(24)は村人に、結核やマラリアの検査をしている。一方、シャーマン(霊媒師)である母親のヤン・ゴン(Jang Ngon)さんは、伝統的な治療を施す。母娘はミャンマーの孤立した村でありそうにないコンビを組み、病気に立ち向かっている。  タン・ピさんの家族は、何世代にもわたるシャーマンの家系で、インドとの国境近くにあるミャンマー北部の村で治療を行ってきた。  この地域に住む少数民族ナガはかつて、首狩りをしていたことで知られている。ナガは部族により言語と習慣が異なるが、今でも主に精霊信仰に基づき暮らしている。  タン・ピさんは、バイクに乗ってやってくるNGOから現代医学の研修を受けている。タン・ピさんは診療所兼自宅の竹製の家のポーチに座り、基本的な治療を行うことはできるが、母親である村のシャーマンとは競合してないと主張する。「人々は私の所にまず来て、それで回復しなければ母の所に行く」とAFPに語った。  母親のヤン・ゴンさんは、全身が膨れ上がった男性が病院で治療を受けても治らなかったものの、祈祷(きとう)をしたら回復した例を語ってくれた。「ジャングルから魂を呼び戻さなければならなかったので、鶏をささげた。すると患者は回復した」  英国がこの地域から去った後、ナガはインドとミャンマーに分断された。ミャンマー側のナガが住む地域は絶望的に開発から取り残されており、国内の他の地域から孤立した状態だ。  3か所あるナガの町の一つラヘ(Lahe)では、最も近い開発された町にたどり着くには、険しい泥だらけの山道を何日も進まなければならない。携帯電話の電波はほぼ届かず、電気が通っているのは五つある村のうち2か所にすぎない。政府が運営する診療所が設置されているのも五つの村のうち一つだけだ。 ■火の明かりの下で診療  需要はあるが供給がないというギャップを埋めるため、NGO「メディカル・アクション・ミャンマー(MAM)」の医療従事者らはバイク、徒歩、さらには舟も使って人里離れたナガの地域を訪れている。  村人たちはMAMによって月1回設置される移動診療所の到着を、列を成して待っている。診察は夜遅くまで続くこともあり、しばしば火の明かりの下で行われる。  一般的な疾病に加え、結核が常に脅威となっている。また、狩猟の伝統がけがの危険性を高めているという。急なヘアピンカーブ、ガタガタの橋をバイクで走り、舟で川を渡って来たMAMの地域責任者ゾー・ミン・レイ(Zaw Min Lay)医師は眼鏡の泥を拭きながら「彼らの生活習慣はけがをしがちだ」と話した。  MAMの活動が成功するかどうかは、地元で訓練している健康ボランティアのネットワークにかかっている。域内の275の村から各1人が選ばれたボランティアは、鎮痛剤や経口補水塩の配布、結核のスクリーニング、特に重要なマラリアの検査などの訓練を受けている。  MAMはまた、緊急支援が必要な場合には、最寄りの病院まで患者が苦しみながら歩かなくてもいいように交通手段も手配してくれる。  世界保健機関(WHO)によると、ミャンマーではマラリアが2010年から2017年で90%以上減少している。遠隔地の保健サービスの大幅向上が、大いに貢献しているという。  ヤン・ゴンさんは現代医療を受け入れたことで、シャーマンの伝統が廃れてきたと認める。シャーマンは簡単な仕事ではない、鶏、豚、牛など高価な家畜を犠牲にしなければならないからだと話す。それに、ヤン・ゴンさんは年を取り、視力が衰えつつある。 「私は教育を受けた人には、診療所に行くように言っている」  映像はバイクなどを使いナガの地域を訪れるMAMの医療従事者や、現代医学の研修を受けるタン・ピさんの他、月1回の移動診療所で診察を受ける村人たち。2月撮影。(c)AFPBB News

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