<顔が大好きでずっとR-2>こんなにすてきなクルマとの 付き合い方があるんです|大貴 誠のレディーバードの旅 第55回
横浜の街で、同じように旧車に一目ぼれして、同じように旧車とずっと暮らしてきた方にお会いしてきました。 【スバル360で素敵探検 大貴 誠のレディーバードの旅 第55回】 「横浜で、真っ赤なスバルR-2に乗っている女性がいる」。そのことを知って、会いに行ってしまいました。 そのオーナーはR-2だけではなく、バモスホンダもお持ちで、持ってるクルマはその二台のみ、日常の足としてR-2を乗り回してらっしゃるという。これはさぞや筋金入りの旧車マニア? いや、お話をうかがうとそうではなかったのです。 自動車教習所に通いはじめた頃、電車の窓から見えた丸い目玉の赤いクルマ。「それがスバルR-2。当時は名前も知らなかったけど、一目ぼれでした。昭和50年代のことです」。 とっくに生産終了したのを中古車販売店で探し回ってやっと見つけたのが、どぶねずみ色でランプの形が少し違うR-2。それを赤く塗り替え、ジャンクショップで手に入れた部品で「一目ぼれした赤いR-2と同じ形に直してもらいました」。それからずっと今まで、そのR-2に乗り続けてるのです。 そしてバモスホンダ。これも雑誌で見つけて「ブランド物のバッグも宝石もいらないから」と入手しました。 R-2もバモスも「顔」が大好きだったんだそうです。子供の頃から、お父さんの運転する助手席に乗りながら、「目のつり上がった怒り顔」「情けなさそうな悲しい顔」「イーッと歯をむき出しにしてる」……いろいろな顔がいるなあと思っていた、そんな中でこのふたりの顔は最高に好き。「クルマを性能じゃなくて顔で選ぶなんて」と、言われても、それが自然なことでした。 【画像16枚】横浜の街で、旧車に一目ぼれした女性が持つクルマは、R-2とバモスホンダという異色の組み合わせだった 「一目ぼれで旧車を買う」けれどもともとは心配性で堅実な性格だった 一目ぼれで旧車を買う。そう聞くと、「直感を信じ、大胆に物事を進める人」のように感じるかもしれません。「いえ、もともと心配性で堅実な性格だったんです。自分がクルマを運転するとは思ってもいなかった」。 しかし思ってもみなかった運命がオーナーを変えました。学生時代からの付き合いの末に結婚したお連れあいが、出張先の事故で亡くなられたのです。「今思っても当時の記憶がスッポリ抜けていて、自分が自分でないような気持ちで過ごす日々が長かったです」 必死に自分を仕事に追い込んで過ごしている時、「彼が、出張から帰ったら運転免許を取ろうと言っていた」ことを思い出し、「彼の代わりに免許が取れたらいいな」と教習所に通いはじめ、そしてR-2と出合うのです。「何があるか分からないから貯金なんてしてもムダ、それより趣味に回して楽しもうって、人生観が一変したんです」 「助手席には一緒に死んでもいいと思える人しか乗せません」。大胆で慎重でとってもキュートなオーナー- 運動神経がニブく運転もうまくないから、「初めての場所に行く時にはまず電車やバスで駐車場と道路の様子を調べに出かけてから行きますし、今では決まったところを中心に走り回ってますね。 あがり症で、ふつうの作業でも人に見られるだけで失敗したりするのに、運転なんてなおさら。だから助手席には一緒に死んでもいいと思える間柄の人しか乗せません」と笑います。大胆に慎重に、愛車と長く仲よく付き合ってきたんですね。とってもキュートな方なのです。 同じ横浜で、こんなすてきな「旧車の先輩」にお会いできて、いろいろなお話をうかがえて、うれしかったです。次はぜひR-2とレディーバードが仲良く並んで「ハマをドライブ」したいです。 初出:ノスタルジックヒーロー vol.201 2020年10月号(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
Nosweb 編集部
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