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海外出張や遠方の会議は本当に必要だった? コロナ時代が変える移動への意識

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The Guardian

【記者:Emma Graham-Harrison and Helena Smith】  グローバル化が進んだ私たちの世界は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって突然、停止させられてしまった。  米調査機関ピュー・リサーチ・センターが行った調査によると、4月までに世界人口の90%以上(71億人)の国で入国者にコロナウイルス関連の移動制限が課された。多くの国で現在、国内でのロックダウン(都市封鎖)は緩和されつつあるが、国境をまたぐ移動が止まった状態は、今後もかなり長い間続きそうだ。各国は感染第2波の食い止めにまだ注力しており、直ちに入国制限を緩和しようという動きはほとんどない。  アメリカン大学ロースクールのリンジー・ワイリー教授は次のように話す。「仕事や留学、難民認定申請をするための移動や移住は、前例のないレベルで、日常生活よりもずっと長い間、中断されることになる」  航空業界の上層部はすでに、乗客需要が2019年の水準に戻るまでには数年かかるとの見方を示している。それも元に戻ればの話だ。  新型コロナウイルス感染症には潜伏期間があるため、ほとんどの国は、入国者に2週間の隔離期間を求めている。  国家間の移動は、完全な禁止か隔離ルールによって、大幅に制限される可能性が高い。隔離措置が出発地と目的地の両国で実施された場合、どこかで働くか、のんびり過ごすためだけに合計1か月の隔離生活を送らなければならないことになる。つまり、実質的に、大半の出張や観光目的の旅行が断たれることになる。  こうした一部または全面的な閉鎖によって、その国で暮らす人々の健康は守られるかもしれないが、観光やその他の移動(外国人留学生などの入国)に依存している国には甚大な経済的損失がもたらされる。この負担から、入国制限を解除する試みは再び加速されるかもしれない。  航空機での移動が気候に与える影響が懸念される時代において、移動量の若干の減少はこのまま永続的なものになる可能性があるし、そうであるべきだと訴える声もある。また中には、コストおよび二酸化炭素排出量の削減を余儀なくされたことを歓迎する企業もある。 「ロックダウン前は、世界で40億人以上が航空機で移動していた」と話すのは、交通の脱炭素化などを研究し、英ランカスター大学で社会学を教えるモニカ・ビュッシャー教授だ。「出張していた人々が今は皆、ビデオ会議を利用するようになった。ビジネス分析では、2021年までに労働人口の25~30%が(恒久的に)ビデオ会議を使うようになると示唆されている」  また、ランカスター大学組織労働技術学部の学部長であるジェームス・フォールコンブリッジ教授は、移動が強制的に停止されたことで、出張に対する思い込みがいい意味で変わる可能性があると話す。 「こうした会議の多くは、わざわざ移動して行う必要がないものだったにもかかわらず、ある種の思い込みがあり、移動したり人と会ったりすることこそが仕事のやり方で、仕事に身を入れていることの表れと見なす労働慣行になっていた」 「現在私たちが普通のこととして受け入れているレベルの移動が行われるようになったのは、たかだか21世紀に入ったばかりのころだったということは忘れられがちだ」とフォールコンブリッジ教授は話す。「現在の『リセット』状態は、移動に対する世の中の思い込みを刷新しているが、私たちが思うほど急進的というわけではないのだ」 【翻訳編集】AFPBB News 「ガーディアン」とは: 1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。

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