ANAHD片野坂社長「サービスモデル思い切って変えていく」 年頭あいさつ
全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)の片野坂真哉社長は1月4日、ANAグループ年始式の年頭あいさつで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けて新しいビジネスモデルへ変革していくため、スピードを今年の重要項目のひとつに掲げた。 片野坂社長は、「正念場の一年を乗り切るための重要なポイント」として、「安全」「営業キャッシュフロー」「スピード」「コスト削減」「人」の5つを挙げた。航空会社にとって安全が第一であることを前提とした上で、早期の単月黒字化を目指し、2020年度は約1500億円、2021年度は約2500億円の2年間で約4000億円のコスト削減を進めるとした。 収支改善やコスト削減を進めていく中、片野坂社長は「社会や人々の意識が変わる、航空需要も大きく変化するという予測を立て、ANAのこれまでのサービスモデルを思い切って変えていく。重要なことは、スピードにある」と述べた。競合他社が新しいサービスなどを打ち出してくる中、危機を乗り切るアイデアや取り組みに対して、多様な意見を積極的に取り入れるとした。 また、同社では2020年は「人」にこだわる年にしたいとしていたが、今年も重要項目とした。片野坂社長は「雇用を守るという宣言を行い、資金の続く限り堅持する考えは少しも変わらない」と、約4万6000人のグループ社員に呼びかけた。 ANAは、一般社員の年収を平均3割削減することで労働組合と合意。月例賃金の5%カットを1月から当面実施していく。 ANAHDの2021年3月期通期の見通しは、2003年の連結決算移行後では最大となる5100億円の最終赤字(前期は276億5500万円の黒字)を見込む。
Tadayuki YOSHIKAWA