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トーレスとイニエスタ、最後の抱擁。語られなかった2人だけの2秒間。

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 フェルナンド・トーレスとアンドレス・イニエスタ、スペインで他クラブのサポーターからも愛され、世界中のサッカーファンに尊敬される2人は、共に新天地に日本を選んだ。 【秘蔵写真】ヤンチャそうな藤枝東の長谷部、韮崎の中田英、桐光・俊輔、イケメン市船・増嶋&北嶋、半端ない大迫、平山、乾……高校サッカー伝説の45人!  2019年8月23日、明治安田生命J1リーグ第24節、サガン鳥栖vs.ヴィッセル神戸。この試合は、トーレスの引退試合だった。  チケットは即完売。2万3000人のファンが鳥栖のスタジアムに集い、スペインからもメディアが来日、世界が注目する一戦になった。  バスでスタジアムに到着した時も、ウォーミングアップのために登場した時も、トーレスは穏やかな表情だった。それは、試合開始が近づいても変わらなかった。  この日、2人は既に2回抱擁を交わしていた。まずは入場する前にエントランスで両者笑顔で。次は、両チームがフェアプレーを誓い合う握手を交わす時にピッチで、やはり両者笑顔で。自身の3人の子供達を連れて入場してきたトーレスは、3人目の女の子を片腕で抱え上げたまま、その2回の抱擁を交わした。

2人が日本で戦うのは初めてではなかったが。

 トーレスとイニエスタ、スペインからやってきた世界的なスーパースター2人を1枚の写真に収めるのは、この試合が最初ではない。同じ年の3月2日、神戸で行われた同カードで、2人はやはり握手を交わし、試合中でもボールを争う場面があった。  トーレスは、スタメンで出場すれば鳥栖のキャプテンとしてチームメイトを引っ張っていた。2018シーズンでは人生で初の残留争いをし、このシーズンもそれは変わらなかった。思うようなボールが前線に届かなくても、これまで所属してきたメガクラブでは考えられないようなもったいないミスを目の当たりにしても、彼はチームを鼓舞し続け、前線で体を張り、守備のために走り、鬼気迫る表情でレフェリーに抗議した。

イニエスタとトーレスのコイントス。

 3月との違いは、鳥栖の監督がルイス・カレーラスから金明輝に代わっていることや、神戸に酒井高徳が加入したことなど様々あったが、この写真に関しては、イニエスタが神戸のキャプテンマークを巻いていたことが挙げられる。  ルーカス・ポドルスキの長期欠場で“盟友の引退試合だから”ではない自然な形でその役割を担ったイニエスタは、引退する当のトーレスとは対照的に、アップ中からセンチメンタルになっているように見えた。  キャプテンの役割の中には、陣地かボールかをコイントスで選ぶ、というものがある。  両チームの選手が握手を交わし、集合写真の撮影が終わると、2人はキャプテンとしてコイントスのために審判団のもとに向かった。すぐに、中継局のカメラと6人のオフィシャルカメラマンがそこに駆け寄った。コイントスを終えた2人は彼らに向かって肩を組み、笑顔を作ってフォトセッションに応じた。  ワイドレンズでもズームレンズでもなく、本来は試合中に使うはずの望遠レンズを構えていた私は、オフィシャルカメラマンたちの隙間に彼らを見ていた。必ず撮影のタイミングが生まれる、というわけではないが、撮るべきものがそこにある以上は、たとえ結果的にノーチャンスであったとしても、ベストは尽くしておくべきだろうと思うからだ。

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