水産資源管理の重要性学ぶ 奄美群島漁業振興推進大会 奄美市
奄美群島水産振興協議会(茂野拓真会長、奄水協)主催の奄美群島漁業振興大会が22日、鹿児島県奄美市名瀬のアマホームPLAZAであった。奄美各地の漁業者や水産行政担当者ら約60人が出席。奄美各地でトビンニャやテラダなどと呼ばれて親しまれ、近年漁獲量が低迷しているマガキガイについての研修、奄振事業を活用した種苗生産などに関する基調講演があり、参加者は水産資源管理の重要性に理解を深めた。 県水産技術開発センターの外城和幸所長は、2019年度から5年間の奄振事業を活用した▽スジアラ種苗生産技術開発▽ソデイカの資源利用支援▽磯根資源開発(藻場造成)▽水産資源の利用加工―の4項目に関する水産資源利用開発推進事業の調査実績、今後の調査計画について記念講演した。 スジアラの種苗生産技術開発の成果では、親魚の更新や水温の調整などで、産卵数の増加や産卵時期のコントロールを実現。給餌量や方法の見直しなどでふ化した稚魚の生存率が向上したことで、1水槽当たりの生産数は過去最高の4万匹超を記録した。今後5年間も事業を継続し、「2028年度までに生産技術をマニュアル化してかごしま豊かな海づくり協会への技術移転を目指す」とした。 マガキガイの生態や漁業実態、資源管理については水産行政担当や研究者が発表した。鹿児島大学国際島嶼(とうしょ)教育研究センター奄美分室の河合渓教授は、奄美群島で減少傾向にある漁獲量について「漁の規制があまりない状態で、需要増加による価格高騰もあって過剰漁獲の状況にある」と指摘。同大学水産学部の鳥居亨司准教授は「まずは小さい個体の採捕禁止や漁獲報告の義務などを開始し、将来的には科学的根拠に基づく群島統一のルール設定が求められる」と訴えた。