「なぜうちの子を使わない?」少年野球で保護者の過干渉…“苦情ゼロ”にした方法とは
春日学園少年野球クラブでは保護者と指導者を明確に分けている
少年野球では保護者が監督やコーチを務めているチームも多い。“パパコーチ”が日々の練習を支えている一方で、指導のブレや過干渉など、問題が起きるケースもあるという。茨城・つくば市で活動する「春日学園少年野球クラブ」は、保護者とコーチを明確に分けることで様々な問題を解決している。 【動画】「近すぎる距離が成長を妨げる」 少年野球指導の専門家が解説する子どもとの“接し方” 練習中、打撃投手やノックの球出しをするお父さんたち。通常の“パパコーチ”のような形にも見えるが、指導に当たることはない。「保護者はコーチではなく、スタッフと呼んでいます」と岡本嘉一代表。あくまで“サポート”をお願いしている。 春日学園少年野球クラブの指導者は見延慎也総監督の他に、複数の筑波大大学院生が務めている。全員が大学で野球コーチング論を専攻し、子どもの興味を引きつつ、怪我や練習のやりすぎ防止などに配慮した指導をしている。 「プロに任せるのが一番です」。低学年、高学年が同時に試合をすることもあるため、保護者の監督を置いてはいるが、交代の判断など試合中の指示はコーチ陣に一任されている。
筑波大の現役大学院生がコーチを務め、完全実力主義を徹底している
保護者が監督やコーチを務めることによる問題点は、現場でも指摘されている。子どもと同時に“卒団”するケースでは指導方針などが引き継がれず、あとから入部した子どもや保護者を失望させてしまうこともある。また、保護者が「なぜうちの子を使わないのか」といった苦情を訴えることは決して珍しくない。 しかし、春日学園少年野球クラブでは理論に基づく指導と、第三者による完全実力主義のレギュラー選びを徹底。2013年にチームが創設されて以降、保護者から苦情が寄せられたことは一度もないという。 「週末1/4ルール」や「脱・勝利至上主義」など“春日ビジョン”と呼ばれるルールを定め、次世代の少年野球のモデルケースとして注目されている「春日学園少年野球クラブ」。一貫した指導方針は県を越えて広まり、部員数も右肩上がりで増えている。
川村虎大 / Kodai Kawamura