「陽キャ」の陰で悩んだ――ナオト・インティライミ「僕だって弱音は吐きます」【#コロナとどう暮らす】
シンガー・ソングライターのナオト・インティライミは、いつだって陽気なキャラクターでファンを楽しませてきた。独特な語感の名前がインターネット上でいじられることもしばしば。周囲からは「弱音を吐くのを見たことがない」という声もある。3度目のメジャーデビューから10年。持ち前の明るさと、コロナ禍でライブが中止となり「歌えない」現状について聞いた。(取材・文:Yahoo!ニュース 特集編集部、写真:西田香織)
ネットの「インティライミいじり」どう思う?
「若いころだったら、精神的にくらっていたかもしれません」といって笑った。 ナオト・インティライミの「インティライミ」は、ケチュア語で「太陽の祭り」を意味している。いまから15年ほど前、世界一周の旅の途中、自身が南米を旅しているときに思いついて以来、ずっと使ってきた名前だ。 メジャーデビューから10年。ライブの動員数も増え、2012年には紅白歌合戦にも出場。ドラマやミュージカルの舞台にも出演した。人気が全国区になったころ、インティライミという名前がインターネットの世界でひとり歩きを始める。本人はこう振り返る。 「女子高生の間で『受験生必見、ナオト・インティライミで覚える英語の前置詞』みたいなのを使い始めたんです。『ナオト イン ティラミス』『オン ティラミス』『ビトゥイーン ティラミス』みたいな感じで、ずいぶん名前で遊んでくれたんですよね」
キャラクターもひとり歩きを始めた。 2017年、テレビドラマ「コウノドリ SEASON2」で、世の中の子育て中の女性たちをイラッとさせる会社員男性を演じた。妻の育児に対し、「おれも手伝うからさ」などと言ってしまう無理解キャラが当たり役になり、反響を呼んだ。ネットで「#うちのインティライミ」というハッシュタグをつけて、「うちのインティライミは(夫は)ゴミ出ししない」などと投稿する女性が続出した。 「SEASON1に出演した小栗旬さんは、『いい芝居だった証拠だよ』と言ってくれましたね。ネットには『サイコパスだなんちゃら』と書かれることもありました。(嫌じゃなかった? と聞かれ)いや、それが……確かに少し複雑な気持ちはありましたが、逆にありがたいなぁと思ってました。よくみんな、ここまで自分のことで面白がってくれるなぁ、っと。そして、ネットでの『ティライミいじり』って総体的にセンスがよくて面白いんですよね。よく思いつくな、すごいな、と。この名前を守ってきてよかったって思ってます」 ステージはいつも笑顔で盛り上げる。後ろ向きなことは言わない――。常に太陽のように明るい。そんなイメージとのギャップがネットでの「いじり」につながったのかもしれない。