東大生はなぜ長期休暇になると、海外へ行くのか? 日本人として彼らが得た「気づき」と「学び」
初めて会った人に職業を聞かれ「大学生です」と答えると、「どこの大学ですか」と聞かれる。 【表】東京大学の合格者のうち、上位の出身校〈中高一貫校〉は? そういうときに、「一応東大です」と言わないようにしている。入学前から“いちおう”とつけることが不評であると知っていた。 “いちおう”とつけるのは、東大に入って自分より凄まじい学生が一定数いると知ったことから生まれる遠慮や謙遜だと推測する。 それでも、言われた人からすると、どういうことなのか分からない。素直に「東大です」と答えるのが最適だ。 さて、8月と9月は夏休み。ぼくは仕事をしながら、英語やフランス語の勉強に励む地味な生活だが、友人の一部は海外に行っている。それは旅行だったり、帰省だったり、留学だったりするわけだが、海外で過ごす学生の割合はとても多い。 ぼくは、18歳の頃に日本大学理工学部に通っていたが、海外に行く友人は一人もいなかった。 「夏休みはヨーロッパに行くんだよね」などと言われたら、とんでもなく高貴な生まれで、きっと親は旧華族の末裔で、愉快なことがあったとき「うふふおほほ」と笑うのだろうと考えてしまうくらい珍しいことだった。 参考までにこの夏で友人が訪れた国と地域を列挙する。 アメリカ、アメリカ、アメリカ、チュニジア、イタリア、トルコ、モンゴル、フランス、フランス、中国、中国、中国、中国、台湾、韓国、韓国、イギリス、イギリス、イギリス、イギリス、デンマーク、デンマーク、カナダ、カナダ、タイ 本人から直接聞いた情報とSNSから得た情報のみなので、これ以外の国にも旅立っているかもしれない。 長期休みになると、みんなとにかく海外に向かう。その理由を聞いてみた。
夏休みに友人が行った国
◆フランス① 親戚が住んでいるから。 親戚に会うために、毎年のようにフランスに行くらしい。 親も英語が話せる、親が国外の法人に勤めている、海外在住経験があるといった話は東大生からよく聞く。 ◆トルコ 海外旅行に行くつもりで、航空券が安いトルコを選んだ。 イスラム教の聖地として学びがあったそうだ。 博物館とアヤソフィアの入場料は合わせて8,000円くらいで、食事も2,000円程度と物価は低くなかった。一方、電車の運賃は80円くらいだった。 実はアフリカの国に行きたかったが、日本からの直行便がないので、トルコを経由してチュニジアへ向かった。 アフリカに行く日本人は少ない。フランス語を話す自分としては、アフリカに行きづらいのは残念である。 ◆チュニジア フランス語が使えるため旅先として選んだ。 アフリカにはいくつかフランス語が使われる国があるが、日本から乗り継ぎが多いため航空券が高い。チュニジアは乗り継ぎ1回で行ける。 国民はフランス語とアラビア語を話し、そのうちの何割かは英語も使える。日本人と比べるとはるかに英語の能力が高いらしい。 日本人観光客が来ることはほとんどなく、タクシー運転手に「仕事か?」と聞かれ「旅行だよ」と答えても、繰り返し「仕事か?」と問われたらしい。観光客が珍しいのだろう。 チュニジアの料理は、フランスの影響を色濃く受けていて、焼き加減が絶妙だ。友人はいちじくとさつまいもの炒め物に感動していた。 朝食はパン屋でパンを買って、カフェに持ち込んで食べたそうだ。そのとき会ったチュニジア人のおじさんが、夕方もその店でコーヒーを飲んでいて、「この人はいつ働いているんだろう」と疑問を持った。働き盛りの青年やおじさんが、昼間からカフェに集って談笑していて時間の流れが日本よりゆっくりだと感じる。みんな急いでいない。電車が20分遅れても、誰も焦っていない。 チュニジアから船でイタリアのシチリアに渡ると、多くの出稼ぎ労働者と一緒になった。 ▶続きの【後編】を読む▶他にもさんきゅう倉田さんの友人は長期休暇で海外へ。就職前で訪れた国で、複数社の内定をもらっていた彼にある「決断」させた経験とは……をご紹介します。
元国税芸人 さんきゅう倉田