天皇陛下61歳 コロナ禍「若い人々の苦境を危惧」
天皇陛下は23日、61歳の誕生日を迎えられた。これに先立って住まいの赤坂御所(東京都港区)で行われた記者会見で、長引く新型コロナウイルスの影響を深く憂慮し「特に多くの可能性を持つ若い人々が苦境に陥り、女性や若者の自殺、家庭内暴力、児童虐待などが増加していることなども危惧している」と述べた。 【写真特集】天皇陛下61歳 コロナ禍を深く憂慮 陛下はこの1年を「コロナ禍に翻弄(ほんろう)されてきた」と振り返った。亡くなった人に哀悼の意を表し、医療従事者らに対する感謝の思いを語った。コロナに直面し続ける社会への深刻な影響を懸念する一方で、「国民の忍耐力や強靱(きょうじん)さに感銘を受けた」との思いも明かした。最近の新規感染者数の減少やワクチン接種の開始にも触れ、「国民が痛みを分かち合い、協力し合いながら忍耐強く乗り越える先に明るい将来が開けることを心待ちにしている」と願った。 3月で発生から10年を迎える東日本大震災については、今月13日深夜に宮城・福島両県で震度6強を観測した地震も踏まえて「未曽有の災害による被害の大きさが改めて思い起こされた」と述べた。「(震災を)過去としてではなく、現在も続いていることとして考える必要があると改めて感じた」とし、被災地の再訪に意欲を示した。 秋篠宮ご夫妻の長女眞子さまの結婚延期を巡る質問には「(眞子さまが)ご両親とよく話し合い、秋篠宮が言ったように、多くの人が納得し、喜んでくれる状況になることを願っている」と答えた。 会見では療養生活が続く皇后雅子さまにも言及した。「新年のビデオメッセージで一緒に国民の皆さんにごあいさつができたことは良かった」と振り返り、「日々の活動を支えてくれる大切な存在だ。私もできる限り力になり、支えていきたい」と語った。 会見は19日に行われた。新型コロナ対策で記者は例年の半分の1社1人に限り、陛下の席の前にはアクリル板が設置された。 23日は昨年に続いて一般参賀は見送られ、祝賀行事も大幅に縮小される。【和田武士、稲垣衆史】