東京五輪「絶対に開催した方がいい」 コロナ禍逆転の発想、選手村の川淵三郎村長
延期された東京五輪・パラリンピックで、東京・晴海の選手村村長に就任した川淵三郎氏(かわぶち・さぶろう)氏(84)が、2020年12月、共同通信のインタビューに応じた。新型コロナウイルスは厳しい感染状況が続くが、大会で徹底した感染対策が成功すれば、日本から世界に先例を示すことができると強調。未曽有のコロナ禍に対し、逆転の発想で「五輪を開催する価値は上がった。絶対に開催した方がいい」と訴えた。(共同通信=長谷川大輔) ―選手村村長として抱負をお願いします。 1964年の東京五輪にサッカーの選手として出場して、東京でまた57年後に五輪が開催される時に選手村村長として参加できるというのは、奇跡に近い。世界的に見ても開催国の五輪で選手をやって、村長もやった人というのは、極めて希少な存在に違いない。こんな名誉なことはない。残された人生の中で最後の大役を仰せつかったという思いだ。 ―選手村は各国・地域の約1万8千人の選手団が日本に集まり、滞在し、約8千人のスタッフが動きます。どう感染を防ぐのですか。
ものすごい大仕事だ。うまく成功したら、世界中でコロナを征服した最初の大規模イベントになる。今回、参加するにあたっては、密閉、密集、密接の「3密」回避、マスク着用、うがい、手洗いが必須条件だということを選手に理解してもらいたい。感染しないために最低限、選手が取るべき態度というのをいかにきちっと伝えていくかだ。 ―選手村の環境も過去の大会とは、大きく違って来ますよね。 スポーツを通じて友情、連帯、フェアプレーの精神を培い、相互理解を進めることにより、世界平和に向かって歩んでいこうというのが五輪精神だ。選手村の位置付けは、そういう交流の場だが、3密を頭に置くと、なかなか普段考えているような交流はやりづらい。 その中でも安心、安全で感染しにくい形での、選手の交流の場をつくることができたらと思う。選手にとって「隔離された」という感覚がないような選手村にできないかと考えている。僕らに与えられた大きな命題だ。