上杉謙信の愛刀「山鳥毛」、新潟県上越市が刀所有の岡山県瀬戸内市に借用依頼 刀巡っては過去に曲折も
2025年に100回を迎える謙信公祭で、戦国武将上杉謙信の愛刀で「山鳥毛(さんちょうもう)」の愛称で知られる国宝「無銘一文字」を展示しようと、新潟県上越市の小田基史副市長らは9月12日、刀を所有する岡山県瀬戸内市を訪ね、市役所で武久顕也市長に借用を依頼した。「山鳥毛」は過去に上越市が取得を試みて断念した経緯がある。武久市長は年内に方向性を出す意向という。 山鳥毛は鎌倉時代に備前国(岡山県)で作られた名刀で、刃長約80センチ。刃文が山鳥の羽毛を並べたような模様になっていることから山鳥毛とも呼ばれ、備前刀の中でも傑作と言われる。1952年に国宝に指定された。 謙信ゆかりの名刀を取得しようと、上越市は市民から募金を集めるなどして当時所有していた岡山県内の個人と交渉したが、金額面で折り合わず、2017年に購入を断念した。その後、備前刀の制作地として知られる瀬戸内市が5億円で取得し、20年から所有している。現在は瀬戸内市の備前長船刀剣博物館で年1回ほど展示公開されている。瀬戸内市によると、県外の自治体に貸し出したことはない。 謙信公祭を主催する協賛会が100回の節目に山鳥毛を活用したい考えを示していたことから、市と協賛会が協力して展示を目指すことになった。展示時期や方法などは、借用が決まった後に検討する。 小田副市長によると、12日の訪問では、借用依頼書を受け取った武久市長が貸し出しについて「取得の際には上越市の皆さんからも応援してもらっていた。年内に方向性を出したい」と話した。 小田副市長は新潟日報社の取材に「武久市長からは前向きな印象を受けた。ぜひ100回という節目にお借りできればうれしい」と話した。