【ボクシング】ニューヒーロー誕生!中谷潤人がKOで「世界」奪取
6日、東京・後楽園ホールで行われたWBO世界フライ級王座決定戦12回戦は、同級3位の中谷潤人(M.T)が1位ジーメル・マグラモ(フィリピン)に8回2分10秒KO勝ち。世界初挑戦でタイトルを獲得した。日本の男子現役世界チャンピオンは7人となった。 悲願のベルトを奪取した中谷
リング上から両親と弟に「ありがとうございました」と頭を下げた。4月、8月とコロナ禍で延期が続いた末に、ようやく迎えた晴れの舞台。中谷は鮮やかなKO勝利にも狂喜することなく、ずっとサポートを続けてきてくれた家族に穏やかな笑顔で感謝の言葉を贈った。 初回、長いリーチから威力、タイミングとも十分の左ストレートを直撃。「マグラモの目が飛んだのが見えた」という中谷は、この一撃でペースを自分のものにした。2回に入るとマグラモは強引に距離を詰めてきたが、これも長い準備期間で織り込み済み。中谷は頭を振りながら回り込み、逆に右フック、左アッパーをマグラモのボディに当てていく。マグラモの土俵である接近戦でも押されることなく打ち勝った中谷は、序盤戦で大きく優位に立った。 前に出ながらも打たれ続けるマグラモは、回を重ねて消耗。7回には再び距離を取り始めた中谷の連打に動きが止まりかける。迎えた8回、中谷は左ストレートを効かせると、すかさず追撃。左アッパーから左ストレートを浴びてキャリア初のダウンを喫したマグラモは、戦意を失いカウントアウトされた。
22歳、21戦全勝(16KO)の新王者は「これからは防衛戦や統一戦もしっかりクリアしていけるよう、チャンピオンロードを歩んでいきたい」と初々しく宣言。日本ボクシング界に2年ぶりに新たな世界王座をもたらしたヒーローは、10年来の悲願達成にも浮かれず、次を見据えた。 写真/山口高明
ボクシング・マガジン編集部