サッカーJ1アビスパ福岡の長谷部茂利監督、本拠地ラストマッチ勝利…MF紺野和也「恩返し」決勝ゴール
J1リーグは30日、第37節の9試合が行われ、首位の神戸が柏と引き分け、京都に競り勝った町田が勝ち点3差に迫り、優勝決定は最終節に持ち越された。同4差の広島は1日に札幌と対戦する。18位の磐田がF東京に逆転勝ちして残留に望みをつないだが、19位の札幌は2016年以来となるJ2降格が決まった。福岡が浦和を破り、川崎が東京Vとの乱打戦を制した。 【写真】クラブに初タイトルをもたらした福岡・長谷部監督
福岡1―0浦和
5シーズンにわたってチームを率い、今季限りで退任する福岡・長谷部監督が、本拠地ラストマッチを勝利で飾った。手堅く守って接戦を制する「長谷部アビスパ」らしい試合だった。
守備で徐々にリズムをつかみ、先制したのは40分。前線から圧力をかけて奪ったボールを、MF紺野がペナルティーエリア手前から蹴り込んだ。昨季から加入し、長谷部監督の下で才能を開花させたアタッカーは一目散にベンチへ向かって恩師に抱きつき、「点を取ったらやろうと決めていた」と思いを明かした。
長谷部監督はJ2だった2020年に就任。J2との行き来を繰り返していたクラブをJ1に定着させ、昨季はYBCルヴァン杯を制して初タイトルをもたらした。
ただ、堅実な一方で派手さのない戦いぶりについて「(自分を)よく思っていない方にとっては、つまらない5年間だったと思う」と振り返る。続投のオファーを断った背景には、自身が積み上げたスタイルにクラブがとらわれてほしくないとの思いがあった。
この試合も終盤に守備を固めて1点を守り切ると、今季最多となる1万7161人の観客は総立ちでたたえた。「勝ちにこだわるのは大事だと改めて思った」と長谷部監督。指揮官が貫いてきた信念は、貴重な財産をクラブに残してくれたはずだ。(緒方裕明)