“東大までの人”を量産……人気予備校講師が語る「母親主導の受験の弊害」
マザコン受験生のその後
――高校生ぐらいになれば好きな女の子ができて、お母さんと一緒にいることに気持ち悪さは感じないのでしょうか。ある本には「恋愛は受験の無駄なので禁止すべき」と書いてあるのも見掛けました。 高橋:今の子は恋愛しないです。例えば、昔だったらクラスに一人美少女がいたら男子は浮足立ったりしましたよね。そういうのは今、全く見掛けません。ノーマークです。何しろママが大事です。母親に代わる存在を見つけられないんです。大学卒業後、女性と付き合っても女性に対してママを求めるのではないのでしょうか。「ママはやってくれたのになぜ君はやってくれないの?」と。今は内定式も入社式も母親が行くらしいですが、結婚しても一生それは続くでしょう。それは子どものためにならない。どこかで親離れしないと。 お母さんの言う通りに勉強して褒められて東大入って、いい会社か官庁に入って出世してまた褒められる。そして妻に褒められなければ拗ねる。でもそれは成功した場合ですよね。母親がすべて管理して受験勉強をさせて、失敗したらどうなるか。そちらのリスクも考えて行動しないのは危険です。受験において親の過度な期待に応えようとしても結果が出なかった場合、子どもが精神的に追い詰められて家庭が崩壊しまう例を見て来ました。母親の徹底管理は、失敗すれば家庭が崩壊し、上手く行ったところで「東大まで」の人を作るだけ。お勧めはしません。 ――マザコン受験生のその後はどうなってしまうのでしょうか。 高橋:マザコンによる学力向上は、日本の受験では通用しますが、それでハーバードやスタンフォードでは通用しない。自発的に考える能力がないからです。東大は世界のランキングでさほど高くないところにいるのに、そこで終わる人材を作ってどうするんだということです。 今の日本は本当のエリートを作っていない。国を引っ張れる人材を作っていないと感じます。日本の国家にとって本当に役に立つかどうかわからない人間をお金を掛けて量産しているようにしか見えません。