「お金ない若者も大好きなKーPOPに」奈良知事 2億7千万円で来年無料公演、疑問視も
奈良県の山下真知事は12日、奈良公園(奈良市)で来年10月に予定する韓国の人気歌手らが出演する無料の文化交流イベントについて、X(旧ツイッター)で「お金のない日本の若者も大好きなK─POPアーティストに生で接することができ、交流を深められる。お金に代え難い価値が生み出される」と指摘し、理解を求めた。同イベントは韓国との交流を深める狙いがある一方、約2億7000万円の事業費について費用対効果を疑問視する声が挙がっている。 同イベントは、来年に迎える日韓国交正常化60周年、再来年に迎える県と韓国・忠清南道の友好提携15周年に合わせた9000人規模の無料コンサート。県国際課によれば、今年2月に東京都内に忠清南道の事務所が開設された際、山下氏も招かれ、その場で忠清南道知事と開催を企画したという。 ■「高い安いの次元ではない」 山下氏は、Xで「当初は有料での開催を計画したが、国際的な友好親善という趣旨から無料の方が適切で、その方がかえって多くの支援も得られるだろうということになった」と説明し、「日韓両国の首相や大統領が誰になろうとも、日韓関係を良好に保つには、地方間や民間の交流は重要」と指摘し、「高い安いという次元だけで考えるべきではない」と強調した。 その上で「企業などの協賛を確保したり、ボランティアを募ったりして、県の負担する費用を少なくする努力はしていく」とした。 同イベントを巡って約2億5000万円の事業費を盛り込んだ令和6年度一般会計補正予算案を審議した11日の総務警察委員会では費用対効果を疑問視する声も挙がり、日本維新の会などの会派が賛成して可決された一方、自民党会派(3人)も2人が反対に回った。補正予算案は16日の県議会本会議で採決される。 山下氏は昨年4月の知事選で日本維新の会公認で初当選した。(奥原慎平)