ヘッジファンド、新規ファンドは投資家獲得に苦戦-運用報酬にも圧力
(ブルームバーグ): 5兆ドル(約763兆円)規模に迫るヘッジファンド業界では、新しいファンドが資金集めで、ここ数十年で最大級の苦戦を強いられている。
業界への資金流入は7-9月(第3四半期)に活発化したものの、今年9月までに立ち上げられた新規ファンドの数は123本で、通年では少なくとも2000年以降で最も少なくなる見込み。データプロバイダー、プレキンの最新リポートが示した。
投資家は支払う料金にも敏感で、業界全体で管理手数料は1-9月に幾分上昇したものの、運用報酬は2010年以来の大幅低下となっている。
プライベート資産ブームと低コストの指数連動商品の増加により、運用業界の競争はますます激化。新規参入組にとっては厳しい環境となっている。
公的年金、寄付基金、財団などの大口機関投資家は資金をプライベート市場にシフトさせている。こうした投資家はヘッジファンドがパフォーマンス上の課題を抱えていることも認識している。
今年1-9月のヘッジファンドのリターンは新旧を合わせ全体で10%。これに対し、MSCIオールカントリー世界指数はほぼ2倍になっている。
チャールズ・マクグラス、サリク・アーメッド両氏を含むプレキンの調査チームはリポートで「投資家は経験の浅い運用者より経験豊富な運用者を好む傾向が強まっており、新規ファンドの減少はそれを反映している可能性が高い」と分析した。
「現在の仕組みに満足していない投資家は、ヘッジファンド会社に対して運用報酬体系の中にハードルレートを導入するよう要求している。これにより、パフォーマンスが基準値を上回った場合のみ報酬が支払われるようになり、報酬低下が続く要因となっている」とも説明した。
プレキンのデータによると、ファンドの利益に対する運用報酬の割合は、今年に入って65ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し17.4%となった。かつては預かり資産の2%を管理手数料として、利益の20%を運用報酬として顧客から受け取る「2:20」モデルがヘッジファンドの定番だった。