孤立住民ヘリで救出 「体だけでも無事で」 福島県などで記録的大雨
3日夕から4日にかけて県内を襲った記録的大雨に伴う土砂崩れなどで道路が寸断された福島県喜多方市や西会津町では5日、孤立した集落にいる住民の救助作業が続けられた。西会津町では、不安な一夜を過ごした住民らがヘリコプターなどで助け出された。喜多方市山都町では県道をふさいでいた大量の土砂が撤去され、同日午後に通行が可能になった。住民はほっとしつつ、突然の豪雨被害に疲労の色を浮かべた。 5日午後0時35分ごろ、西会津町のさゆり公園に県消防防災ヘリが降り立つと、町内弥生地区から救助された女性3人が、出迎えに来た家族や親戚と抱き合い、涙を流して無事を喜び合った。救助された女性(85)は「体だけでも無事で良かった」と胸をなで下ろした。 弥生地区にある自宅裏を流れる川の水量が多かったことから3日夕に近所の友人宅に避難した。翌朝、目にしたのは、濁流により運ばれた大木が地区内を埋め尽くし、住宅の玄関などが損壊しているすさまじい景色だった。「水の強さは恐ろしい」と振り返った。
今後、会津若松市の娘の自宅で過ごす。弥生地区につながる唯一の町道は土砂災害によって寸断され戻ることができない。友人宅から自宅までの道も寸断されていたため、自宅の被害状況は確認できなかった。「避難できたのは良かったけど、当分戻れないのではないか…」と不安を口にした。 町や県によると、町道・県道の通行止めの影響で弥平四郎、弥生、極入の町内3地区が3日以降、孤立していた。ヘリの救助により弥生地区の住民の避難は完了。県喜多方建設事務所によると、残る弥平四郎、極入両地区に通じる県道熱塩加納山都西会津線の通行止めも5日午後6時までに解除され、全地区で孤立状態が解消された。 ■山都の県道 通行可能に 喜多方市山都町の山間部で通行止めとなっていた県道一ノ木藤沢線は土砂の撤去作業が進み、5日午後1時から片側交互通行が可能になった。県道は他の地域へとつながる唯一の通行路のため、山あいに入った早稲谷、下廻戸、撫木、一ノ木地区の147世帯274人が前日から孤立状態になっていた。
土砂の崩落による倒木で電線がなぎ倒され、住民は停電の影響も受けていた。撫木区長は「通行止めが長引かずに良かった」と胸をなで下ろす。復旧の進捗(しんちょく)を気にかけ、3度にわたって現場を確認していた。地区内には高齢者が多い。「通行止めの間に急病者が出たら大変だった」と振り返った。 孤立していた地区にある山都温泉保養センター「いいでのゆ」は宿泊客14人の対応に奔走した。停電のため通常通りの配膳ができず、売店にあった食品をかき集めて提供した。 支配人は「(道路が)一日も早く元通りに戻ってほしい。観光シーズンに影響が出ないといいが…」と不安げな表情を浮かべた。