【事例に学ぶ悪質なECマーケの実態】営業「お金さえ払えば検索1位になれる!」、EC企業「300万円をドブに捨てるところだった」
「お金さえ払えば、検索結果で1位が取れると言うんです」――。と、ネットショップの経営者から興奮気味の電話がかかってきた。取り扱う商品は美容雑貨。ネットマーケティングを支援するA社から、出店しているモールで1位を取らせてあげます、という主旨の営業電話があったそうだ。今回の記事では実例を深掘りし、本当にそんなにうまい話があるのか、落とし穴はどのようなものか、てん末はどうなったのかを解説する。自社の教訓に役立ててほしい。
まっとうな検索1位はお金で買えない
美容雑貨を取り扱うある企業は、あるモールの検索結果のキーワードで「2位」の位置につけているが、「1位」は大手企業の美容雑貨が長年独占していた。そのせいか、売れ行きも今ひとつ。そんななか、ネットマーケティングを支援するA社から、「そのモールで1位を取らせてあげますよ」という営業電話がかかってきたのである。 A社は、指定のキーワードで1年間、検索結果で1位をキープし続けることを条件に300万円の費用を提示してきた。内訳は150万円がコンサルティング費用で、残り150万円はその企業が販売している美容雑貨を買い取る予算に当てるという。 「なぜ、わざわざ商品を買い取る必要があるんだ?」そう思った人も少なくないはずである。このあたりの事情を理解するためには、もう少しモール内の検索順位のロジックの知識を深める必要がある。
ご存じの通り、モール内の検索順位がどのようなアルゴリズムで確定しているかは、一般の人には公開されていない。キーワードの選定やレビュー数など、基本的な指標も含めて、常に検索順位のルールは細かく変動しており、ランダム性を高めることで、モール内の検索順位は公平性が保たれている。
しかし、最近は多くのモールが「商品の売れ行き」を重視していると言われている。もちろん、この情報も憶測でしかないが、公開されているガイドラインやコンサルタントが行っている施策を検証する限りでいえば、ある一定期間内に、より多くの商品を販売したネットショップのページのほうが、検索結果で上位に表示“されやすい”というのが、ネットショップかいわいで、暗黙の了解になりつつあるアルゴリズムになっているところがある。 ■ 支援会社がA社に提示した悪質な手法 そして今回、A社が提示した「150万円で商品を買い取る」というのは、モールのアルゴリズムの裏をかく悪質な手法と言えた。取り扱っている美容雑貨の単価は3000円前後。150万円を支払えば500個を買い取ることができる。