燃え盛る工場に響く轟音...ウクライナが米国供与の「ATACMS」でロシア領内の航空施設を爆破する衝撃映像
12月11日の深夜に起きた爆発は、ウクライナによる地対地陸軍戦術ミサイル攻撃によるものだとみられている
ウクライナが米国から供与された地対地陸軍戦術ミサイルシステム「ATACMS」を使用して、ロシア領内の航空施設を攻撃したと伝えられている。 【動画】燃え盛る工場に響きわたる轟音...ウクライナが米国の「ATACMS」でロシア領内の航空施設を爆破する衝撃映像 SNSに投稿された映像は、アゾフ海に面したタガンログの市内で12月11日午前3時半ごろ起きた爆発の様子をとらえている。ウラジーミル・プーチン大統領が始めた戦争の前線から160キロほど離れた場所だった。 ロシア治安部隊と関係するテレグラムのチャンネル「Baza」は、正式にはまだ未確認としながらも、ATACMS弾道ミサイルが発射されたとの情報があると伝えた。 一方、テレグラムのウクライナ寄りのアカウント「Politics of the Country」などは、ウクライナが無人機ミサイル「パリアニツィア(Palyanytsia)」を使用したと伝えている。パリアニツィアの重量は45kg前後で、ロシアが使用するイラン製の無人機「シャヘド(Shahed)」と同程度だ。 本誌はロシアとウクライナの国防省にコメントを求めている。 バイデン政権は先月、米国の供与したシステムをウクライナがロシア領内で使用することを認めた。それまでは事態のエスカレートを懸念して使用を制限していた。 地元住民は、タガンログ航空科学技術複合施設(Taganrog Aviation Scientific and Technical Complex)が標的にされたと証言した。同施設は今回の戦争を理由にEUと米国の制裁下にある。投稿によれば、付近には別の航空施設もある。
被害状況は!?...ウクライナはロシア石油積み込みパイプラインも攻撃
テレグラムチャンネルの「ASTRA」によると、映像は航空機修理工場が狙われたことを示している。ただし被害状況や死傷者に関する情報はない。 タガンログはロシア南部ロストフ州の主要都市。ユーリ・スリュサル知事代行は、ミサイル攻撃によって産業施設とその駐車場の車に被害が出たとしているが、詳細は明らかにしなかった。 被害の程度は調査中と知事代行は投稿し、カメンスク近郊で防空システムが作動したと説明。「敵の無人機1機が破壊された。運用サービスによると、地上では死傷者も被害もない」と4時間後の更新情報で付け加えた。 ウクライナはプーチンの戦争を締め付ける狙いで、ロシアの石油精製施設や軍の施設などのインフラに対するドローン攻撃を繰り返しているが、直接的には関与を認めないことも多い。 ウクライナ軍参謀本部によると、ウクライナ軍は10日夜にかけても、ウクライナ国境から約100キロ北に位置するブリャンスク市付近で石油積み込みパイプラインを攻撃して炎上させた。 ドルジバパイプライン(the Druzhba oil pipelin)のNPブリャンスク積み込み所は、ロシア軍への補給に使われるタンカーや貨物列車向けにディーゼル燃料の受け取り、貯蔵、分配を行っていたとされる。 ロシアがウクライナのエネルギー施設に対する攻撃を強める中で、過酷な冬を迎えるウクライナ国民は決意を試される。エネルギー相のヘルマン・ハルシチェンコは11月28日、ロシアが国家の電力網に「大打撃」を与えたと語った。 (翻訳:鈴木聖子)
ブレンダン・コール