今日から優勝への5連戦 「困ったらど真ん中に」投手陣は阿部監督の意思を最後まで徹底せよ【柴田勲のコラム】
浅野は6、7番が適任では
それにしても23日、坂本勇人が勝負所でよく打った。7回無死一、三塁で大城卓三の代打として打席に立ち、追い込まれたものの高橋遥人の外角ストレートに食らいついて、右前に運んだ。決勝打となった。 11日の広島戦(マツダ)で9回に一挙9点を奪って、少し大げさに言えば奇跡的な逆転勝ちを収めた。優勝すれば「あの試合が」と間違いなく言われる分岐点だった。しかし、21日(マツダ)は8回に浅野翔吾のミスも絡んで4点を奪われて痛恨の逆転負けを喫した。 これで11日の勝利も帳消しになるのではと思ったくらいだ。事実、翌22日は阪神に1対0で敗れた。 坂本は前日、チャンスで3度打席に入ってあっけなく凡退していた。この日はベンチスタートだった。これで気分よく帰京することができた。 振りが鈍くて自信を失っていた。打球が詰まるから前で打とうとする。こうなると、外角球は空振りするし、内角球にはうまく対応できない。最近の浅野を見ていると、坂本によく似ている。 その浅野だが、相変わらず2番を打っている。阿部監督が言う、自由に伸び伸び打たせたいというのなら6、7番あたりの下位が適任ではないか。再三にわたって指摘してきたが、現状を見るとそうはいかないのか。ココ・モンテスが調子を落としており、大城も打率2割5分5厘で本塁打3……本来15本くらいは打ってもらわねば困る打者だ。 岸田行倫、門脇誠、小林誠司らに大きく期待できない。下位打線は当てにせず、上位打線で点を取りたい。ここはパンチ力のある浅野を2番に置きたいのだろう。
巨人ナインは6戦すべてに絶対に勝つ
ソフトバンクが4年ぶりのリーグ制覇を決めた。まずはおめでとうございますと祝福したい。もっと早く決めると思っていたが、独走はさすがだった。 最後になるが、巨人の絶対的な優位は揺るがない。だけど何が起こるか分からないのも勝負の世界だ。巨人ナインは6戦すべてに絶対に勝つ。この意気込みで臨んでもらいたい。 球団創設90周年に花を添える4年ぶりのリーグ優勝は目の前だ。次回の本コラムで巨人を祝福したい。 (成績は23日現在) 柴田 勲(しばた・いさお) 1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。 デイリー新潮編集部
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