鶴田真由さん「ひとり旅」をすると家族に優しくなれる。自分を取り戻し、年齢を重ねる準備期間に
ひとり旅をきっかけに家族に優しくなれる
読者世代のなかには、ずっと育児や仕事で忙しく過ごしてきたせいで、本来の自分がなにを好きなのか、分からなくなっている人も。そんな人も、旅をきっかけに自分の感覚を取り戻せるのではないかと鶴田さんは話します。 「家族に依存するよりも、自立していた方が夫とも子どもともお互いに優しくなれるでしょうし、リスペクトも生まれると思います。子どもが独立したあと、自分はなにがしたいのか分かっていないと、きっとつらくなってしまうと思うので。せっかくなら、旅を次の年代のための準備期間として活用するのもひとつの方法だと思います」
ドラマや映画は“鏡”。自分の反応も含めて楽しんでほしい
今年の秋には写真を撮るために兵庫県・沼島と滋賀県・奥琵琶へ旅行したという鶴田さん。自分のためのインプットやリフレッシュの時間をしっかり持っているからこそ、俳優としても確かな存在感を発揮できるのかもしれません。 12月8日から放送・配信される「連続ドラマW 誰かがこの町で」は、埼玉県の新興住宅地「福羽(ふくは)地区」を舞台に、集団による同調圧力の恐ろしさを描いた社会派ミステリー。鶴田さんは、横浜で法律事務所を構える弁護士の岩田喜久子を演じています。物語のはじまりは、大学時代の友人の娘を名乗る若い女性が、喜久子のもとを訪ねてきたことから。「家族を探してほしい」という彼女の依頼を契機に、「安全で安心な町」を掲げる新興住宅地で、かつて少年誘拐致死事件が起こっていたことが明らかになっていきます。 喜久子の役を演じる上で軸になったのは、彼女が「ある過去と向き合う決心をする」ということ。 「友人の娘が現れ、江口洋介さんが演じる調査員の真崎の調べによって、過去の事件がだんだん明るみになっていく。そのなかで、彼女は『もう逃げられない』と腹をくくったのだと思います。過去としっかり対峙し、自分が背負ってきたものを清算しようと。その覚悟をした瞬間が役の鍵になりました」。 物語の舞台となる「福羽地区」は、安全なまちづくりを目指すあまり、厳しいルールを住民にも強いている町。違和感を感じつつも、家族やマイホームというしがらみによって、異を唱えることのできない登場人物に感情移入する人もいるのではないでしょうか。 「ドラマや映画って、鏡だと思うんです。そのとき自分が置かれている状況や心理状態によって、物語のどの部分が響くかが変わってくる。その種みたいなものが、このドラマにはたくさん散りばめられていると思います。『自分はこういうところに共感した』『ここが恐ろしかった』という感覚が、すなわち今の自分だと思います。そういう自分の反応も含めて、楽しんでもらえたらうれしいです」
ESSEonline編集部