選抜高校野球の「21世紀枠」候補 どんな学校? 推薦理由は?
第97回選抜高校野球大会の「21世紀枠」の各地区候補9校が13日、発表された。2025年1月24日の選考委員会で2校が選ばれ、一般選考校とともに3月18日に阪神甲子園球場で開幕するセンバツ大会に出場する。9校のプロフィルや推薦理由を紹介する。 【ファンなら即答?】センバツの歴代優勝校、言えますか? ◇釧路江南(北海道) 北海道東部の釧路市にある道立校。地域は冬の寒さが厳しく、5月中旬に全国で一番遅く桜が開花する。グラウンドは11月中旬から約5カ月、積雪や凍土の影響を受けて満足に練習できない。10月からは日没時間も早い。照明設備がなく、農業用のビニールハウスを利用する。氷上に積もる雪を「白い土」を目指して整備し、気温が氷点下10度でも雪上で打撃や守備練習に取り組む。部員数は22人で選手18人。今秋の北海道大会では準々決勝で北海に0―1で惜敗した。 ◇久慈(東北、岩手) 岩手県沿岸北部に位置する久慈市の県立校。卒業生の約半数が国公立大へ進学する県内有数の進学校。久慈市はNHK連続テレビ小説「あまちゃん」のロケ地として知られる。地域の拠点校として社会に貢献するリーダーを育成すべく文武両道に取り組む。2011年の東日本大震災では被災地となり、16年と19年の台風では浸水被害を経験。困難を乗り越えながら地元に元気と夢を与えてきた。35人の部員全員が地元出身で、直近4年は春、秋の県大会のいずれかで3位以内に入った。 ◇横浜清陵(関東・東京、神奈川) 横浜市の県立校。1974年に清水ケ丘として開校。2004年に大岡と統合して横浜清陵総合となり、17年に現校名となった。部活動研究の教授を招いて部活動とは何かを考える研修を受講。可能な限り生徒の「自治」によって活動することが望ましいと共通認識を持ち、時間をかけても納得・合意を大切に部を運営する。女子マネジャーもチーム運営を担う立場として活動する。グラウンドは他部と共有で時間の制限もあるが、近年では春、夏、秋の県大会で8強入りした実績がある。 ◇名古屋たちばな(東海、愛知) 名古屋市の私立校。野球部は1972年に創部し、2024年春に愛知産大工から現校名となった。野球部は上級生と下級生でペアになる「親子制度」を設けるなど、人間的な成長を促す取り組みを進める。企業のカンボジア学校建設プロジェクトに協力し、野球部が全校生徒に呼び掛けて恵まれない環境で暮らすカンボジアの子供たちに贈る文房具などの支援物資を回収する活動を10年以上続けている。近年は県内の強豪私学を破るなど互角に戦い、今秋は県3位で東海大会に出場した。 ◇小松工(北信越、石川) 石川県南部の小松市にある県立校。工業の知識と技術を習得し、生徒の約8割が地元企業に就職する。選手全員がデジタル機材も活用し、投球動作や打撃フォームを確認するなど同じ練習メニューに取り組む。22年8月の豪雨災害ではグラウンドの一部が使用できなくなる被害を経験し、近隣の民家で泥よけのボランティア活動に励んだ。24年9月の能登豪雨では被害を受けた輪島高や野球関係者の自宅や職場の復旧作業に協力した。今秋は北信越大会で2勝し、4強入りを果たした。 ◇山城(近畿、京都) 京都市にある府立伝統校。1907年に旧制府立第五中として創立した。文武両道を実践し、昨年度は過去最多の117人が国公立大に現役合格した。71年から聴覚障害のある生徒を受け入れ、学校生活の支援や校内手話弁論大会などを通して全校生徒が障害への理解を深めている。野球部は夏の地方大会に第1回大会から「皆勤出場」。平日は約2時間と限られた時間の中で徹底した基礎練習を行い、昼休みを活用して自主練習にも取り組む。今秋の府大会では42年ぶりに準決勝に進んだ。 ◇大田(中国、島根) 島根県中央部の大田市に位置する県立校。理数科があり、野球部員を含む学年の3~4割が国公立大に進学する。現チームは選手11人と創部以来まれな少人数だが、その分、部員と指導者の信頼関係は厚く、4人の女子マネジャーも献身的にチームを支える。約2カ月半で30回以上に及ぶ練習試合を行って実戦経験を積み、今秋の中国大会では38年ぶりに1勝を挙げた。未就学児や小学生への野球普及活動に継続して取り組んでおり、地域の活性化に一役買っている。 ◇高松東(四国、香川) 高松市の県立伝統校。1908年に創立し、69年から現校名になった。平日はグラウンドを他部と共有するため、使えるのは内野部分のみ。限られた環境で各選手が課題を明確にし、具体的な数値目標を掲げながら主体的に練習している。小学生との野球交流や川の清掃ボランティアに取り組むなど、地域に根ざした活動にも力を入れている。今夏の香川大会では45年ぶりに準決勝に進出した勢いで、秋の県大会でも29年ぶりに4強入りを果たした。 ◇壱岐(九州、長崎) 長崎県の離島・壱岐島にある文武両道の県立校。進学率は約9割で、野球部からも地元の長崎大や神戸大への進学実績がある。1回の遠征に約30万円がかかるなど島外に出るためには経済的負担が大きく、練習試合の機会も限られる。さらに教員は必ず離島勤務があり、指導者が頻繁に交代するといった困難も乗り越えながら活動している。今秋の県大会では強豪校を破り準優勝し、初出場の九州大会で8強入りを果たした。25人の部員全員が壱岐島出身で、島民からの期待も高い。 ◇都道府県別推薦校 <北海道> 釧路江南 <東北> 青森 八戸 岩手 久慈 秋田 秋田工 山形 山形商 宮城 仙台一 福島 ふたば未来学園 <関東・東京> 茨城 日立商 栃木 宇都宮工 群馬 利根商 埼玉 川口市立 山梨 甲府城西 千葉 千葉黎明 東京 淑徳 神奈川 横浜清陵 <東海> 静岡 桐陽 愛知 名古屋たちばな 岐阜 岐阜総合学園 三重 桑名工 <北信越> 長野 小諸商 新潟 新潟 富山 富山北部 石川 小松工 福井 大野 <近畿> 滋賀 水口 京都 山城 奈良 奈良 和歌山 紀央館 大阪 市岡 兵庫 西宮東 <中国> 鳥取 米子西 島根 大田 岡山 岡山東商 広島 竹原 山口 西京 <四国> 香川 高松東 徳島 板野 愛媛 今治北 高知 高知小津 <九州> 福岡 育徳館 佐賀 小城 長崎 壱岐 熊本 熊本商 大分 大分豊府 宮崎 延岡 鹿児島 隼人工 沖縄 宮古