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武田薬品工業が「アリナミン」や「ベンザ」など大衆薬事業を売却 国内に見切り、グローバル経営に集中

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THE PAGE

 武田薬品工業が、国内大衆薬事業を米国の投資ファンドに売却することになりました。武田は2019年にアイルランドの製薬大手シャイアーを買収するなど、グローバルなメガファーマ(巨大製薬会社)への脱皮を進めています。グローバル経営に集中するため、規模の小さい国内大衆薬事業は売却し、本業に集中したい意向です。

小さな部門になりつつある国内事業

 今回、売却の対象となるのは、武田の完全子会社である武田コンシューマーヘルスケアで、同社は多くの大衆薬を製造販売しています。ビタミン剤の「アリナミン」や風邪薬の「ベンザ」は、飲んだことがあるという人も多いのではないでしょうか。  同社の2020年3月期の売上高は約600億円で、約500人が勤務しています。日本国内としてはそれなりの規模ですが、武田グループ全体としては急速にグローバル化を進めており、国内事業はもはや小さな部門になりつつあるのが現実です。  武田は日本の製薬会社としては唯一、グローバル市場で通用する力があるといわれてきましたが、以前は国内市場と海外市場の2面戦略でした。しかし、現CEO(最高経営責任者)のクリストフ・ウェバー氏がトップに就任してからはグローバル戦略を一気に進め、2020年3月期の売上高は3兆3000億円に迫る勢いとなっています。  製薬業界は新薬開発の競争が激化しており、体力のある少数の企業しか生き残れないというのが業界の常識です。武田はギリギリのところで、グローバルなメガファーマの一角を占めることができたといってよいでしょう。今後の競争激化に備えるため、国内事業は売却し、その資金を新薬開発などに投じる予定です。

創業家と経営陣の対立もあった

 こうしたグローバル戦略についてはリスクが高すぎると疑問視する声もあり、一時は創業家と経営陣がグローバル戦略をめぐって対立したこともありましたが、今回の国内大衆薬事業の売却で、武田は完全に退路を断つことになりました。  売却される国内大衆薬部門については、当面、雇用は継続される見通しですが、国内市場は急激な人口の減少によって市場規模縮小が懸念されています。長期的には何らかの形で組織をスリム化する必要に迫られそうです。武田の国内部門がファンドの傘下入りしたことをきっかけに、今後は1社あたりの規模拡大を目指し、国内製薬会社間でのM&A(合併・買収)が活発になる可能性も十分に考えられます。 (The Capital Tribune Japan)

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