県岐阜商・松野 モデルチェンジ実らず痛恨の1球 選抜高校野球
第93回選抜高校野球大会は第4日の23日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で1回戦が行われ、県岐阜商は市和歌山に0―1でサヨナラ負けした。投手戦となり、互いにスコアボードに「0」が並んだが、七回から救援した2番手右腕・松野匠馬(3年)が九回につかまった。 【市和歌山vs県岐阜商 息詰まる投手戦を写真で】 息詰まる投手戦の最後に、マウンドでうなだれた。充実した県岐阜商の投手陣にあって、鍛治舎監督に「秋から最も伸びた投手」と称された右腕は、もう1段階、高いレベルの投球を目指す中で、その途上にあることを痛感させられた。 七回から救援したが、制球に苦しむ。九回は1死後に中前打と四球などで一、二塁とされた。1ストライクからの2球目、捕手・高木の要求は「自分の売り」と認識する内角直球。しかし、甘く真ん中に入ってサヨナラの中前適時打を浴び、「申し訳ない。悔しい」と声を絞り出した。 元々は最速148キロの直球を中心に強気に押すスタイルだが、この日の直球は130キロ台が中心。調子が悪かったわけではない。「スピードも大事だが、丁寧にコースをつくことを心がけた」という投球だった。 昨秋の公式戦は防御率1・69と好投した。しかし東海大会を通じて「甲子園ではもっと球の精度がないと勝てない」と感じ、制球力に重きを置くようになった。1週間のうち4日間、1日50球ずつストライクゾーンの四隅だけを狙う練習をした。力まずにボールに力を伝えようと、4キロほどのメディシンボールを全身を使って動かし、体幹の強化も図ってきた。鍛治舎監督も「球自体が変わった」と球速以上に球の質が良くなったと見てきた。 しかしこの日は「練習してきたことがうまくいかずボールが先行し、得意な球にも影響が出た」と松野。2回3分の1を投げて3安打3四死球の結果に「やり直し。伸びのある直球を、自信を持って投げられる夏にしたい」。更なる成長への糧とするつもりだ。【森野俊】 ◇全31試合を動画中継 公式サイト「センバツLIVE!」では、大会期間中、全31試合を中継します(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2021)。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/senbatsu/)でも展開します。