【英国】スターマー首相、増税示唆 秋季予算は「痛み伴う」
英国のスターマー首相は27日、10月30日に発表する予算案について、富裕層にとって「痛みを伴うものになる」と述べた。前保守党政権による「空白期間」からの転換を図る意思を示しつつ、「変化には時間がかかる」とも指摘。ただ、負担を強調した演説の内容には、保守党だけでなく左派の緑の党からも批判の声が聞かれた。BBC電子版などが伝えた。 予算案を巡っては、リーブス財務相が7月、前政権から引き継いだ本年度予算に220億ポンドの歳出超過があったとして、新年度予算案では「難しい決断を下すことになる」と増税を示唆していた。 スターマー氏は、前政権によるこうした政権運営を「ブラックホール」と表現。保守党の14年間について「構造の根っこに深刻な腐敗があれば、それを隠蔽(いんぺい)してはいけない。全体を徹底的に見直し、大変だろうが時間がかかろうが根本から取り組まなければならない」と語った。増税の対象は富裕層である点を強調し、所得税や付加価値税(VAT)、国民保険料の引き上げといった「労働者の負担」は避ける見通しだ。 一方、経済状況について「長期的には良くなるが、短期的には痛みを伴う」とした点には、左右から注目が集まっている。 スターマー氏の演説に対し、保守党のスナク前首相はX(旧ツイッター)で「スターマーの演説は、労働党がずっと計画してきたことを明確に指し示していた。つまり増税だ」と投稿。緑の党のデニア共同代表は「国民はさらなる経済的な苦境に耐えるために労働党に投票したのではない」として、経済構造の転換を求めた。