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オランダの食肉処理場で新型コロナ集団感染 背景に外国人労働者が抱える問題も

配信

日本食糧新聞

新型コロナウイルス感染予防に対する2か月のインテリジェントロックダウン(条件付きロックダウン)を経て、収束の道へ向かっていたかに見えたオランダだが、食肉処理場で新型コロナウイルスの集団感染(クラスター)が発生した。背景と対策が今後の注目点となるわけだが、世界的に見ると現段階では食肉処理業界での感染が確認されているのは、オランダ以外にも、米国、ブラジル、アイルランド、ドイツ、フランスがある。

従業員の25%が感染

5月25日、オランダのとある食肉処理場で従業員のクラスターが発生した。全従業員の約20%が新型コロナウイルスに感染していたことが判明、その後の調査では、感染率が約25%と判明した。実に従業員の4人に1人が感染したことになる。なぜここまで感染拡大したのか? 現在処理している精肉を市場に流通させることで、各業者や消費者に影響はないのかなどさまざまな疑問も出てきた。 この場内では、出入り時には消毒洗浄を徹底しており、帽子、マスク、手袋は着用必須であった。それでも感染してしまうのだ。クラスター発生原因の特定は非常に難しいのだが、作業場において従業員同士のソーシャルディスタンスが取れないは大きな理由になるのではなかろうか。 流れ作業で進む業務の場合、各従業員の作業位置が決まっている場合が多く、新たにソーシャルディスタンスを設けての作業は不可能だろう。作業機械の構造を変えるなどの大掛かりな変更となると、すぐの対応は難しい。とはいえ、感染拡大は防がなくてはならない。

東欧諸国からの出稼ぎ労働者が多く

今回のクラスター発生の背景は複雑で、原因の特定は難しいといわれる。この背景とは、当地の食肉処理業務従事者の多くが東欧諸国からの出稼ぎ労働者だという事実だ。外国人労働者の多い業界の問題点は、ほとんどの労働者の住居は借り上げ住宅もしくは寮内での集団生活をしており、病気が発生すると伝染しやすい。 また保険加入は任意加入の当地で、医療費が決して安くない状況では、外国人労働者は未加入のままで労働し、よほどのことがない限り医療機関を訪れることもない。また外国人労働者が多い業界では、上記に述べた宿泊施設問題や通勤の送迎、ソーシャルディスタンスの取りにくい工場内での勤務など、従業員同士の接点が非常に多い点も頭に入れておかねばならない。 感染の拡大が止められず仮に工場が閉鎖してしまえば、流通、家畜農家からの出荷停止などが検討される。そうなると、膨大な家畜の処分など別の問題も出てくる。2次3次被害も想定されるため慎重な対応が望まれる。 (オランダ在住フードコンサルタント 白神三津恵)

日本食糧新聞社

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