【元祖スーパーSUV】 ランボルギーニLM002 カウンタックのV12に四輪駆動 後編
数字以上に大きく見える四角いボディ
text:Greg Macleman(グレッグ・マクレマン) photo:Olgun Kordal(オルガン・コーダル) translation:Kenji Nakajima(中嶋健治) 「エンジンは幸いにも、必要な部品が揃っていました。すべての部品を写真撮影してカタログ化し、いったん整理しています。部品を探す手間が軽減されます」。ランボルギーニLM002のリビルドを手掛けた、ロマノが話す。 【写真】ランボルギーニLM002とウルス (63枚) 限定生産のスーパーカーのように、LM002にも入手困難な部品や、極めて高価なコンポーネントが用いられている。「排気ガスを用いたエアポンプのレブリミッターが、最大の懸案。アイドリング時のエミッションを抑える機能があります」 「正しく配線されず、燃えていました。新しいものに交換しても、機能しない。小さな箱なのに2000ポンド(27万円)もするんです。リレー配線が間違っていて、修正すると正常に動きました」。ロマノが笑う。 リビルドには、膨大な時間が投じられた。ロマノのこだわりが、見事なLM002の細部から伺える。 リアのラゲッジボックスは、オリジナルの仕様で制作し直されている。マッドフラップも、純正と同じ素材が用いられた。 1987年の、生まれたままの姿のように美しい。ブルー・アカプルコ・メタリッツァートと呼ばれるダークブルーのボディも、新車時の通り再塗装してある。強い陽光の下でも、ほとんど黒色に見える。 仕上がったランボルギーニLM002へ近づく。以外なほど大きい。膨大な作業量も見えてくる。 全長は4902mm、全幅は2007mmあり、現行のレンジローバー・スポーツより、幅はわずかに狭い。ボディは平面でボンネットの位置が高く、はるかに大きく見える。325/65 VR17という専用のピレリ・スコーピオン・タイヤも、肉厚で迫力がある。
2ドア・ハッチバック並みに狭い車内
正面から見ると、アメリカのスタジアムでジャンプする、モンスタートラックのような威圧感だ。ハートフォードシャーの、狭くカーブの続く道を走るのには適していない。 運転席のドアは、驚くほど軽い。大きな容姿とは対象的に、車内は狭い。フロアはフラットで、サイドシルはない。レザー張りのシートへ、身体を滑らせる。ドアを閉めると、大きなトランスミッショントンネルと、ドアパネルに挟まれる。 小柄なドライバーでも、インテリアはコンパクトに感じられるだろう。リアシートも狭い。ざっくりいうと、車内はコンパクトなハッチバック程度の広さしかない。 これほど大きなクルマなのに、なぜここまで狭い車内にしたのか、なったのか、疑問が湧いてくる。意図的なのだろうか。ユーティリティ、利便性は間違いなく悪い。 インテリアの心地よい感触は、スーパーカーのような雰囲気がある。質の良いレザーシートと、直立気味のナルディ製のステアリングホイール。LM002へエンジンを貸したカウンタックのようだ。 一方で車内を見渡すと、大きなスイッチが並び実用性も考えられてはいる。それぞれ保護用のラバーケースで覆われている。土木工事の機械のよう。ほかでは見られない、豪奢さと剛健さとの、融合といえる。 ダルそうに回るスターターが、V型12気筒エンジンを目覚めさせる。カウンタック・エンジンのオフローダーとしては、想像以上に静か。2本出しのマフラーカッターが、上を向いている。