現代版「不思議の国のアリス」のような「マルニ」、ゴリラが登場した「ジョルジオ アルマーニ」 ミラノコレリポート第2弾
2021-22年秋冬シーズンのミラノ・ファッション・ウイークが2月24日~3月1日までオンライン上で開催されました。ここでは3~5日目までに発表された中から厳選した5ブランドをご紹介。長年ウィメンズコレクションを取材する向千鶴「WWDジャパン」編集長と、大杉真心「WWDジャパン」記者が対談形式でリポートします。 【画像】現代版「不思議の国のアリス」のような「マルニ」、ゴリラが登場した「ジョルジオ アルマーニ」 ミラノコレリポート第2弾
"現代版「不思議の国のアリス」のティーパーティーのような「マルニ」"
大杉:「マルニ(MARNI)」は、ブレックファースト、ランチ、ディナーの3部構成でZoom上で発表するという新しい形式でした。招待状はクリエイティブ・ディレクターのフランチェスコ・リッソ(Francesco Risso)からのフレンドリーなメール。「ミラノのショーで会えないのは残念だけど、我が家の朝食に招待するね。自分の食べ物は持参してテーブルに集まって」というような内容で、メディアやバイヤーの業界関係者だけでなく、顧客にも送ったそうです。プレスの話によると、「フランチェスコからメールが来たんですが、これは間違いメールではないですか?」というような問い合わせが来たそう(笑)。
向:靴がスープに浸っている写真には正直ギョッとしました。夢と現実の狭間で食卓を囲む様子は現代版「不思議の国のアリス」のティーパーティーみたい。「マルニ」の根底には永遠の少年少女のファンタジーみたいな要素があって、フランチェスコは創業デザイナーのコンスエロ・カスティリオーニ(Consuelo Castiglioni)からはそこを引き継いでいると思う。ただファンタジーの種類は変わったよね。フランチェスコは人間のきれいな部分だけでなく、もっと奥底の本音や素の部分をとらえてそれを楽しんじゃおうとしている感じ。だから引力と同時もエグさもある。私はどうしても前の「マルニ」が恋しいけど若い世代は違うのかな。
大杉:フランチェスコにオンラインインタビューをする機会があったのですが、撮影はフランチェスコの自宅で行ったそうです。このカオスな演出は「夢と現実の狭間」を表現したそう。「コロナ禍、政治、厳しい現状に向き合う中で、触覚的なロマンティシズムを探求した。ヒーリング(治癒)になるようなコレクションを作りたかった」とフランチェスコは話します。布団のようなジャケットやドレス、実験のように時間をかけたグラデーション染めのドレスが象徴的です。