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原監督の野手登板の起用よりも無死一、二塁での作戦が奇抜です/デーブ大久保コラム

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 何か新しいことをすると必ず批判されるものです。まあ、私から言わせたら新しいことでもないんですけどね。8月6日の甲子園での阪神対巨人戦で、8回裏に巨人の原辰徳監督が、野手の増田大輝を指名し、マウンドに上げました。これについてです。 巨人・原辰徳監督は“名将”か、それとも“異端”の指揮官か――/球界の論点  巨人の大御所OBの方々が、この原采配について反対の意見を語っていました。私はいろいろな方が「反対してもいい」と思っています。全員が賛成するほど怖いことはないです。みんな同じ方向へ行くのは、よくないことですよね? 反対する人たちがいるから、バランスよく世の中が回っていくと思うのです。  OBの方々に媚びている? そんなことはないです。原監督のこの采配に、反対することで社会の声の平均性やバランスが取れるのだと思います。反対する人をみんなで批判することもよくないですよ。それはそれで意見として受け止めましょう。何せ、原監督は「どんどん批判してください。まったく意に介さないですから」というスタンスを取っていますからね。  では、この采配について私は賛成か、反対か……34年前にアメリカの教育リーグで同じように野手が投げる試合が結構ありましたから「当然のこと」だと思っていました。何も驚かなかったですし、原監督ならあり得るな、と思っていました。  一軍にいる選手は、どこかの世代でピッチャーをやっていた人がほとんどです。そして何より、そういう野球の才能が人より秀い出ているから一軍でも活躍できる。だからこそ下調べをして、こういう機会のときに準備していたのだと思います。  やはり、第3次原政権は何か新しいことをやってやろう、ほかの監督にこういうこともできるんだ、ということを見せつけているようにしか思いません。例えば昨季の暑い時期に試合前のシートノックはやらずに、体力を温存させたりしていました。シーズンの先を考えたら、夏場から秋口にかけて最高のパフォーマンスができるように仕向けたりしていたわけです。  私自身は、増田大の起用法よりも「すごいなあ」と思ったのが、2日前の8月4日の阪神戦(甲子園)です。8回表無死一、二塁で1ボール2ストライクと打席の坂本勇人が追い込まれた後の1球です。あの場面、エンドランなのか、ダブルスチールなのか分からないサインを仕掛けました。結果は阪神の馬場(馬場皐輔)への投ゴロ。しかし馬場は走者が走っていると知らずに二塁へ送球。このとき初めて気がつき、悪送球となり追加点を奪いました。案の上、その後の阪神守備陣がグダグダになりました。  どんな監督も一瞬は考えることですが、かなり躊躇(ちゅうちょ)します。しかし、それをやるのが原監督。そして、それを平然と実行できるのが巨人の選手です。平然とやるには、日々の準備ができているから。そのチーム全体の用意周到さにビックリしました。 『週刊ベースボール』2020年8月31日号(8月19日発売)より PROFILE 大久保博元/おおくぼ・ひろもと●1967年2月1日生まれ。茨城県出身。水戸商高から85年ドラフト1位で西武に入団。トレードで巨人入りした92年に15本塁打。95年現役引退。野球解説者やタレントを経て、2008年に西武コーチに就任し日本一に貢献。12年からは楽天打撃コーチ、二軍監督を経て15年に一軍監督に就任した。15年限りで辞任し、16年から野球解説者をこなしながら新橋に居酒屋「肉蔵でーぶ」を経営している。

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