研究が生む革新の美 県水墨美術館・鈴木藏の志野展 県内外からファン続々
富山県水墨美術館(富山市)で開かれている「卒寿記念 人間国宝 鈴木藏(おさむ)の志野展」(同館、富山新聞社、北國新聞社など主催)は23日、初の週末を迎えた。美濃焼の一種「志野」の人間国宝鈴木氏(89)が長年焼き方や技法の研究を重ね生み出してきた、伝統と革新の美を訪れた美術ファンらが堪能した。 鈴木氏は「力強い作品」を目指して作陶を続けており、会場には波をイメージした模様が特徴の大皿や大型立体作品「陶塑(とうそ)」などが並ぶ。東京から訪れた会計士種村智子さん(62)は「どっしりと存在感のある作品が多く、志野のイメージとかけ離れたデザインの作品もあって驚いた」と話した。 志野は日本陶磁の歴史で初めての白い陶器とされ、鈴木氏は焼成の研究などによってピンク色を作り出すことに成功した。 会場には土や釉薬、鉄化粧の調合を調べるために焼いたテストピースも展示されている。京都府の会社員岡本修さん(51)は「作品づくりへの情熱やこだわりがバリエーション豊富な作品を生み出すのだと感じた」と話した。 会期は来年1月19日まで。一般千円、大学生500円、高校生以下無料。