ACL準決勝敗退もヴィッセル神戸の戦いぶりに宮澤ミシェル「VAR判定には恵まれなかったけど、攻撃も守備も本当に粘り強く戦ったよ」
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第179回。 現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したこと、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。 今回のテーマは、ACLについて。ヴィッセル神戸の準決勝敗退により、残念ながら日本のチームが姿を消してしまったACL。しかし、準決勝でのヴィッセル神戸の戦いぶりを宮澤ミシェルは、「本当に粘り強く戦ったよ」と称賛した。 ***** ヴィッセル神戸はACL決勝トーナメントの準決勝で蔚山現代(韓国)に延長戦の末に1-2で敗れた。VAR判定に恵まれなかっただけで、試合内容だけなら決勝進出にふさわしい戦いはヴィッセル神戸の方が見せてくれたと思うよ。 ACL制覇の目標達成まで見えただけに悔しさは大きいと思うんだ。でも試合後の選手たちからは、敗戦の理由をVARのせいにすることなく、「次は圧倒的な強さで優勝してやるんだ」という前向きな気持ちの伝わるコメントが聞けて、とても好感を持てたよね。 それにしても、ヴィッセル神戸の今季のJ1リーグでの戦いぶりを知っていると、よくぞここまで勝ち上がったというのが率直な感想だよね。 ACLはグループリーグの戦いでさえ厳しいと思っていたんだよね。広州恒大(中国)とのグループリーグ初戦は3-1で勝利したけれど、続く広州恒大との第2戦、水原三星(韓国)との第3戦はともに0-2で敗れて2連敗。 「やっぱりダメか」と思ったけれど、決勝トーナメントでは粘り強く戦ったよね。決勝トーナメント1回戦で上海上港(中国)に2-0で完勝したのも効いた。あの勝利があったからこそ、続く準々決勝の水原三星戦では1-1からPK戦にまでもつれこんだゲームをモノにすることができたんだと思うよ。 その中でも、古橋亨梧は目覚ましい活躍を見せてくれたね。決勝トーナメントを通してアグレッシブなプレーが光っていたけど、特に準々決勝で決めたFKはさすがだった。あの大舞台で壁の下を狙えるなんて本当に度胸があるよ。 準決勝はアンドレス・イニエスタを故障で使えなかったけれど、イニエスタ頼みのチームではなくなっていたね。最後はシーズンを通しての課題であった守備のところが破綻したけれど、攻撃も守備も本当に粘り強く戦ったよ。 9月に就任した三浦淳寛監督のもとで、自分たちの強みと弱みを再確認し、戦力を見直したことがよかったんだろうね。それがあったからこそ、11月25日から12月13日までの18日間で6試合も戦うハードスケジュールのなかで結果を残せたんだと思う。 今季のJ1リーグでは12位前後と低迷しているから、神戸には来季のACLの出場権はない。だけど、視点を変えれば再来年シーズンに向けて、来季から取り組んでいけるってこと。次のACL出場機会に向けて、来シーズンはもう一段も二段もステップアップしたチームへ成長してもらいたいね。