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本田博太郎、宮藤官九郎も讃えた演技は「ふところの経験」から

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SmartFLASH

「ここに座って、ジュークボックスをいじりながら飲むのが好きでね。この曲はいいよ」 【写真複数】本田博太郎「田舎者だから、名声を得て銭も入ると、天狗にもなるよね(笑)」  本田博太郎(69)が100円玉を入れて選曲したのは、森進一の『北の螢』だった。東京・新宿三丁目にある「かくれが」は、紹介制の会員バー。先代のママと娘の美弥子さんが開いてから、50年になる。 「美弥子さんは、筋の通った玄人的な目線で、ものを見たり感じたりする人。『この前の映画、いまひとつだったね』なんて、手厳しいことを言うわけ。百人力の助言をくれるから、もう30年ぐらい通っているかな」  放送中の『警視庁・捜査一課長2020』(テレビ朝日系)は、10年近く続く人気シリーズだ。主人公の大岩捜査一課長を内藤剛志(64)が演じ、本田は、その上司である「笹川刑事部長」を演じている。 「現場に信頼関係がちゃんとできていて、その空気感が作品に反映されているから、ウソっぽくないんだよね。笹川も、『立派な上司』というだけには演じたくなくて、小料理屋の女将さんに無駄話をして怒られてるような、ちょっと崩れてるチャーミングな “人となり” が映ればと思ってる」  人となり。本田は「役者の仕事もそれが大事だ」と話す。 「俺は、どっちかっていうと不器用な努力型。だから、人となりを見せるしかない。  芝居がうまい人はたくさんいるよ。でも、こういう言い方は生意気だけど、『だから何?』って。こっちに突き刺さらないんだよね。『どうだ、うまいだろ?』っていうのが、いちばん下品で俺は嫌い。  もがきながらも、必死に生きてるやつ。愚直に一生懸命生きているのが、いちばんいいと思う」  本田は、人生経験のすべてが「自分にとっての演劇書」だと語る。 「茨城から上京して、バイトは、殺人以外はなんでもやったよ(笑)。高層ビルの窓拭きをしていたときは、落ちる夢を見て目が覚めたことが何度もある。でも、そんな経験がいちばんの財産。 『苦労』って言葉は嫌いでね。それが当たり前だったし、『自分を作っているもの』ってことだから。それがない人が、“表現者” なんて、あり得ないよね」  もがく本田を浮上させたのが、蜷川幸雄だった。『近松心中物語』(1979年)の公演中に倒れた主演の平幹二朗の代役として、本田が抜擢。一躍脚光を浴び、同年度のゴールデン・アロー賞・演劇部門新人賞を受賞した。 「田舎者だから、名声を得て銭も入ると、天狗にもなるよね(笑)。5~6年は、遊びまくってたかな。そのうち、潮がスーッと引いていってね。  女房にも『もうそろそろ、気がついてもいいんじゃないですか。本田博太郎が、なんぼのものですか』って言われて、『これはヤバい! どうにかしなきゃ』ってなると、結局は己しかいないんだ。 『このままで終わりたくない』って、懸命に階段を一歩一歩のぼって。まだまだ満足できずに、のぼりつづけているよ」

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