ぽん酢市場はエリア限定商品などでトレンド模索
ぽん酢市場は成熟し、今期はコロナ特需からの反落を余儀なくされている。醤油代わりのつけ・かけ用が浸透。トップメーカーのMizkanが提案する「鶏のさっぱり煮」といった調理提案も定着。コロナ対策の内食増もとらえて大容量、基礎調味料化が進む。Mizkanやヤマサ醤油が2021年10月にエリア限定品を新発売するなど、次のトレンドを模索している。 前期はコロナ対策の巣ごもりによって2016年以来とみられる久しぶりの市場回復を果たした。Mizkanは「味ぽん」が醤油より塩分控えめで、口当たりが良い商品力を刺し身使いなどで紹介。健康志向の高まりに応じてきた。 外食自粛の家庭内調理の増加には「さっぱり煮」を重点訴求。「味ぽん」と水と同量で煮るだけのレシピ展開を深め、さらに王道のギョウザ使いをTVCM中心に同時提案し続けた。「味ぽん」はトップブランドながら健闘し、今期も前年の2桁成長を堅持。単品トップは360mlから600mlに移り、ヘビーユースの大容量化を進めた。 近年は減量や降圧といった食酢の健康効果も広く知られ、調味酢や飲用酢も増大。味付け鍋つゆを代表格にした、メニュー専用への需要シフトも加速し、家庭調理に長く定着したぽん酢はほか調味料への需要シフトで苦戦しているのが実情だ。 成熟には付加価値・単価向上で応じるのが王道だが、高果汁の高級・濃厚提案、具入り風味付けなどの提案は一巡している。ぽん酢文化の深い西日本では創味食品、日本丸天醤油などがアッパー商材を育成。Mizkanも「まっことゆず」、ヤマサ醤油は「ええぽんず三割八分」を地区限定発売し、地域共創といった環境配慮、ブランディングも深まりそうだ。 このほか昨年秋はMizkanがしゃぶしゃぶでの味ぽん使いをCMの大量投下で訴求した。味付けつゆのしゃぶしゃぶ人気が広がり、簡単・経済的で現代的なおかずメニューとしてしゃぶしゃぶが復権。たれを組み合わせてのレシピ拡大、使用増を促す。 ※日本食糧新聞の2021年10月11日号の「鍋物調味料特集」から一部抜粋しました。
日本食糧新聞社