「延長は諸刃の剣」緊急事態宣言2週間延長に感染症専門家が危機感…政治のリーダーシップには「絶望的」と苦言
東京、埼玉、千葉、神奈川の首都圏1都3県における緊急事態宣言について菅総理は5日、2週間程度の延長を正式に決定した。 【映像】感染症専門家「緊急事態宣言の延長は諸刃の剣」 その理由は 当初、期限を7日までとしていたが、病床の逼迫具合などを考慮し、延長が決まった今回の緊急事態宣言。東京都が5日に確認した新型コロナウイルスの新たな感染者は301人だった。また、直近7日間の1日あたりの平均が前の週の102%程度となり、約1か月半ぶりに増加に転じた。
■科学的根拠を不透明にさせる“政治の判断”
施設内や家庭内感染が増えている状況の中、今回の緊急事態宣言延長について、神戸大学病院・感染症内科の岩田健太郎教授は「諸刃の剣だ」と危機感を露わにする。 「今回の首都圏1都3県における緊急事態宣言の延長は難しい判断で、正直微妙だと思っている。今さらだが、緊急事態宣言のような施策は、強めに始めて、できるだけ短く終わることが理想的。ところが、日本では全く逆の状況。新型コロナ第3波では、去年の緊急事態宣言時よりもはるかに悪い状況だったはずなのに、それよりも緩い緊急事態宣言を出した。緊急事態宣言は、(期間を)伸ばせば伸ばすほど、効果が落ちる。延長という判断は“諸刃(もろは)の剣”で、次の延長時の効果を下げている」(以下、岩田健太郎教授) 緊急事態宣言の延長によって、本当に新型コロナの感染拡大は収まるのだろうか。 「感染者数が増える理由はさまざまだ。その理由によって、緊急事態宣言がハマるか、ハマらないかが決まる。個人的な推測でいうと、ハマらないのではないかと思う。家庭内感染は現行の緊急事態宣言では防ぎにくい。今の緊急事態宣言の一番の目玉は飲食店。飲食店を介さない感染の広がりについては、効果が少ない」 長引く外出自粛に、焦燥を募らせる人々。緊急事態宣言はどのような状態になれば解除されるのだろうか。 「難しい質問だが、今の緊急事態宣言はどちらかというと科学的根拠のみならず、政治的判断が伴っているように見える。どのような判断を取れば、自分たちが支持されるか。どちらかといえば、政治的判断が背景としてあって、そこに科学的根拠がどれだけ入っているか不透明だ。『こういうデータがあるから、ここにいたるまで何週間は我慢しよう』などが示されない。国民としては『いつまで続けなきゃいけないの?』という気持ちになっている」