楽天・三木谷氏の現場介入に球界大御所が反論!
「三木谷氏からの『チームを強くするにはどうすればいいのか』という相談だった。私は、金で選手を取れば手っ取り早いが、チームを長期的に強くするには、まずは指導者。田尾監督を続投させて、勝ち方を知っているコーチを入れましょう。最低5年というスパンで我慢してチームを作りましょうという話をしたのです」 広岡氏が提案すると、三木谷は「5年は長すぎますね。3年で優勝できませんかね」と顔をしかめたという。広岡氏は具体的なコーチ名を出して、必要な年俸などを提案すると、その金額を値切ったという。 「ユニホームを着ずとも、それくらいの年収のある人達なので、その金額で来てもらうことは難しいでしょう」と広岡氏が返すと、煮えきらぬ顔を浮かべ、しばらく連絡が途絶えた。田尾監督の解任と、元ヤクルト、阪神監督の野村克也氏に監督就任を要請することは、報道を通じて知ったという。 広岡氏は、三木谷オーナーの今回の行動には、日本のプロ野球界が抱えている問題点が背景にあるとも指摘する。 「私もロッテのGM時代は、オーナーと現場のバレンタイン監督の狭間に立たされ苦労はしました。現場に任せる方針では、長期的なチーム強化ができず、フロント主導の組織形態を作るべきです。お金を出すオーナーと、編成を含めたチームの方向性を話していくのが、GMという役割なのでしょう。しかし、日本には責任を背負ってGMという仕事のできる人材がいません。またGMに権限を預ける組織もありません。今球界で正式にGMを置いているのは、巨人、横浜DeNA、阪神、中日、日ハムくらいでしょう。しかし、権限と責任を負って、その職についている人は誰がいますか? 強いて言えば、中日の落合GMでしょうが、阪神の中村勝広は、まったく駄目ですし(笑)、巨人も戦力にならない外国人を途中から連れてきて、誰も責任を取りません」 三木谷オーナーのような行動をGMが行っているならば、理想的な組織に近いのだろうが、そのGMに適任者が不足しているのが、日本プロ野球界の現実。楽天ファンにしてみれば、「オーナーが現場介入しようがしまいが、勝ってくれれば文句はない」が本音なのかもしれない。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)