ファンキー加藤インタビュー・後編 大仁田さんへの熱い気持ちと「電流爆破」 そして斉藤ブラザーズへの大いなる期待
「痛み」を知るプロレスラーは優しい 今、注目してるのは斉藤ブラザーズ
――加藤さんのSNSでとても印象に残ったのが、鈴木みのるさんとの交流を明かして「苦しい時、真っ先に手を差しのべてくれたのがレスラーだった」と。このことは加藤さんが長くプロレスを観てきて、いろんなレスラーと接してきて実感してることですか? そうですね。きっと、一般の人よりも「痛み」を知ってるからじゃないかと思うんですよね。あと、そもそもプロレスは身勝手にはできないっていうか、独りよがりでできないスポーツ、格闘技だと思っているので。何か話をしてても、こっちの気持ちを汲み取ってくれる人が多い気がします。僕が触れてきたプロレスラーはそういう人が多かったですね。棚橋(弘至)さんしかり、鈴木みのるさんもそうですし、丸藤さんもそうですし。三沢さん、武藤(敬司)さん。天龍さんとも一度対談させて貰いましたけど、こっちはガチガチなんですよ。でも緊張をほぐしてくれるように、優しく誘導してくれたり、話してくれたりするんですよね。要は、試合を作ってくれるっていうか、そのインタビューを成立させてくれる。 ――人間的な器がデカい方が多いですよね。 デカいです。そういう人間的な魅力のある方が多いのはプロレスの魅力の一つでもありますよね。 ――今、加藤さんが注目してるレスラーは誰ですか? いろんな団体、レスラーをご覧になってるから絞り込むのは難しいと思いますが、あえて挙げるとしたら? 今だったら、圧倒的に「斉藤ブラザーズ」(兄・斉藤ジュン、弟・斉藤レイ)だと思いますね。 ――おお、今話題の日米ハーフの巨漢双子レスラー、斉藤ブラザーズ! プロレス業界全体の知名度をグイグイ上げてくれる予感しかしてないんですよね。タレントパワーというか、会話を聞いてても頭がいいし、人の良さもにじみ出てるし、みんなに愛されてるし。双子で、あの風貌、あの体格(193センチ、115キロ)で。プロレスでももちろん頑張って貰いたいですけど、プロレス以外でも「対世間」のアイコンというか。プロレスラーの世間一般の知名度って、馬場さん・猪木さんがいて、長州さん・武藤さんがいて、それ以降だと大仁田さんぐらいしかいないのかなと思ってるんですよ。だから「プロレス界のアイコン」として、斉藤ブラザーズはどんどんメディアに出て行ってファン層を広げてほしいって思ってます。俺の周りでも「全日本プロレス面白い」っていう人が圧倒的に多いです。俺が見聞きする中ですけど、新日本プロレスよりも全日本プロレスを「面白い」という人が多いぐらいなんですよ。 ――なるほど。斉藤ブラザーズ、要チェックですね。地上波バラエティー番組で活躍してもおかしくないキャラクターですしね。 本当に映画とか、いいと思うんですよね。時代劇とか、大河ドラマとか、斉藤ブラザーズはいるだけで絵になるし、声もいいですし。多分、演技も出来ると思うんで、俺がキャスティングするなら斉藤ブラザーズを起用しますね。年齢が37歳なので、この4、5年で駆け上がって、日本のプロレス界の救世主になってほしいです。 山口総監督 僕がうかがいたかったのは「未完声」を読ませて貰って、心の中でいろんな葛藤があったり、問題があって追い込まれた時、そういった時に「プロレス」って何か救いになったのかな、と。 もうずっと僕の中での大きな指針の一つがプロレスラーなんです。これからどうしていこうか、とか迷ったり悩んだりした時に、自分の年齢と、数々の偉大なるプロレスラーたちの年齢を合わせて見ること多いんですよ。例えば自分が45歳になったときに、馬場さんは45歳のときに何されてたのか、猪木さんは、長州さんは、天龍さんは、って。そうすると皆さんバリバリやっていらっしゃったり、新しいチャレンジをしたりしているんですよ。それが分かると「よし、俺もまだまだ老け込んでいられないな! 頑張っていこう!」と思えてるんですよね。ずっと、大好きなプロレスラーの皆さんが自分の人生に大きなパワーをくれるし、大きなヒントを与えてくれるし。特に自分が30代後半になってから、ずっと自分の年齢と往年のレスラーの皆さんの年齢を照らし合わせてみたりしてますね。 山口総監督 なるほど。 ――最後に、加藤さんの初の著書「未完声」をこれから読もうと思っている「プロレスTODAY」読者へのメッセージをお願いします。 皆さん、日々お仕事をされて生活していると思うんですけど、僕もそのうちの一人で。たまたま表に出る仕事をしてるだけで、皆さんと同じように、日々プロレスを愛して、プロレスからいろんなものを学びながら、間違いなく自分の人生のベースはプロレスにあるんです。そんな男がたまたま音楽業界に飛び込んでいって、そこで七転八倒してきた中で感じた思いを「未完声」に込めました。同じプロレスファンとして共感して貰えるところもたくさんあると思うので、ぜひ読んでいただけたら嬉しいです。(了) インタビュアー:茂田浩司(スポーツライター)
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